ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

ルパン三世はなぜ峰不二子に騙され続けるのか?
美人との商談で理性を失うビジネスマンの大脳生理学

――処方箋㉘ ニューロビジネスを知れば経営の本質がわかる!

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第28回】 2013年9月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

新しい研究分野・ニューロビジネス
筆者が注目するミクログリア細胞とは

 筆者は、8月よりマレーシアのモナッシュ大学のビジネススクールに赴任している。筆者がこの大学に移った一番の理由は、そこで始められた新しい分野――ニューロビジネス――に魅力を感じたからだ。

 ニューロビジネスとは、大脳生理学的な研究手法を使ってビジネスに関するトピックを研究する学問分野だが、まだ始まったばかりで体系的に学べる分野として確立されてはいない。

 しかし、だからこそ多くの可能性を持つ分野であり、これからどんどん新しいことがわかってくるだろう。

 筆者がここに採用されたのは、最近の筆者の研究がニューロビジネス分野に近いものだからだ。

 筆者はここ数年、脳のミクログリア細胞が経済行動に及ぼす影響について、九州大学の精神医学者・加藤隆弘と共に研究を進めている。現在のところ、脳科学の研究のほとんどは、ニューロン(神経細胞)とシナプス(神経細胞間に形成される、神経活動に関わる接合部位とその構造)を研究対象としている。

 しかし、脳の中の細胞には他にもグリア細胞と呼ばれるものがあり、筆者が注目しているミクログリア細胞はその中の1つだ。

 脳内唯一の免疫細胞であるミクログリアの特徴は、脳の中を自由に移動できることだ。そして遺伝子解析により、我々がまだ単細胞だった頃に外から神経系に入り込んだ「部外者」であることがわかっている。

 ミクログリア細胞の機能については、まだ全てがわかっているわけではない。だが、これまでわかっている中で最も有名な機能は、「神経細胞のお医者さん」という役割である。

 損傷したニューロンを修復したり、あるいは破壊してしまうという役割が知られている。また見張り役として、ニューロンの不具合をチェックしていることもわかっている。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

⇒バックナンバー一覧