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「超」入門 学問のすすめ――明治維新と現代日本に共通する23のサバイバル戦略
【第11回】 2013年5月16日
著者・コラム紹介バックナンバー
鈴木博毅

努力を継続できる人、できない人の差とは?
「なぜ?」を考えられるかがカギ

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学びを継続できない「ライセンシング効果」の罠。そこから逃れるためには、得られた成果ではなく「なぜ?」という行動の理由を問いただすことが効果的である。連載第11回は、福沢諭吉が『学問のすすめ』に込めた「学ぶ理由」を考える。

何に焦点を合わせると
「難しい時代」を乗り越えられるのか?

 スタンフォード大学の心理学者であるケリー・マクゴニガル博士は、著書『スタンフォードの自分を変える教室』(大和書房)で、ライセンシング効果というものを解説しています。

 例えば、サラダと食べると高カロリーの大きなハンバーガーを食べることに、心理的な抵抗感を抱かなくなる。なぜなら「サラダを食べる」というカラダに良いことをしていることで、少しぐらい高カロリーのものを食べても“大丈夫”と感じるからです。

 同じように人は「進歩した」ことを実感させると、逆にサボりがちになるとマクゴニガル博士は指摘しています。これまで自分が達成してきたことに焦点を当てると、人は努力した自分に満足してしまい、多少怠けてもいいかと誘惑に負ける心理に陥るのです。

 これは、私たちがよく覚えている「ウサギとカメ」の童話にそっくりです。

 もともと足の速いウサギは、レース直後からのろまなカメを圧倒的に引き離します。その「自分の成果」に想いを馳せたことで、ライセンシング効果が生じ、少しぐらい昼寝をしても大丈夫だと、怠惰な方向に流れて痛恨の負けを喫します。

 マクゴニガル博士は書籍の中で、ライセンシング効果のマイナスの影響を打ち消すためには、成果を思い出すのではなく「なぜ」というその行動の理由を思い出すことが効果的だとしています。

 大口の商談がある営業のため、数日間かけてさまざまな資料を準備していると、でき上がった資料の数々と苦労から、「ここまでオレは頑張った!」とライセンシング効果の罠にはまる可能性があります。

 当然ですが、「なぜ」この資料を作っているかと問えば、大口商談を成功させるためです。ならば商談成立まで、絶対に油断はできないはずでしょう。

 正しい要素に焦点を当てることで、油断や怠慢に流れる気持ちを引き締めることができ、より大きな成果を継続して獲得できる効果があるのです。

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鈴木博毅 

1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。ビジネス戦略、組織論、マーケティングコンサルタント。MPS Consulting代表。貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略書や戦争史、企業史を分析し、ビジネスに活用できる新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。顧問先には顧客満足度ランキングでなみいる大企業を抑えて1位を獲得した企業や、特定業界で国内シェアNo.1の企業など成功事例多数。日本的組織論の名著『失敗の本質』をわかりやすく現代ビジネスマン向けにエッセンス化した『「超」入門 失敗の本質』(ダイヤモンド社)は14万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に、『企業変革入門』『シャアに学ぶ逆境に克つ仕事術』(日本実業出版社)、『戦略の教室』(ダイヤモンド社)、『「空気」を変えて思いどおりに人を動かす方法』(マガジンハウス)、『実践版 孫子の兵法』(プレジデント社)、『この方法で生きのびよ』(経済界)、『君主論』(KADOKAWA)などがある。

 


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