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「エコ」はいい投資テーマになるか?

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第92回】 2009年8月12日
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エコファンドに資金流入

 8月7日の「日本経済新聞」夕刊1面に、「エコファンドに熱視線 新商品続々、1000億円流入」という見出しの景気の良さそうな記事が載っていた。

 この記事では「環境技術を持ったり、環境対応の進んだりした企業の株式で運用する投資信託」と定義づけられているが、エコファンドに人気が集まっているようだ。ある大手証券系の運用会社が6月に設定したエコファンドは500億円以上集めたらしい。

 ここのところ、内外の株価が上昇していて、投資家の側でも株式に投資したい気分が盛り上がっていることは容易に想像できる。その際、テーマで投資するなら、現時点では「エコ(環境)」は誰にでも分かりやすい視点だ。

 古くから「国策に売り無し」という相場格言がある。自民党、民主党、どちらのマニフェストを見ても「環境」に注力することが触れられているし、何よりも、アメリカではオバマ大統領が「グリーン・ニューディール」を掲げている。

 ただ、先の格言は、国策に逆らって空売りすると危険だと戒めるものだが、「売り無し」だからといって、「買うべし」と言い切っているわけではない。「エコ」はこれからも買えるテーマなのだろうか。

中身は曖昧なエコファンド

 エコファンドは環境を改善することに貢献している企業の株式に投資するわけだが、ある企業が、環境に貢献しているのかいないのかを判断することが常に簡単なわけではない。

 端的に言って、エコファンドはトヨタ自動車の株式を持つべきか否か。トヨタのハイブリッド・カー「プリウス」は、既存の車に較べて「燃費」のいい車なので、こうした車を開発・販売するトヨタは、環境の改善に貢献していると言える面があるが、プリウスといえども、自動車はガソリンを燃やして排気ガスを出すのであって、トヨタは総体として自らの利潤のために環境に負荷をかけている会社だとは言えまいか。たとえば、低ニコチン・低タールな商品でも、タバコはタバコであり、環境の観点から見ると好ましいものではない。車も同様ではないのか。

 世間のエコ・ファンドは、組み入れ対象の可能性を広く取りたいためか、トヨタのような銘柄も組み入れる傾向にあるようだが、これがファンドの趣旨にかなっているのかどうか、筆者は自信がない。

 エコファンドは、登場以来ざっと10年が経過しているが、当時から、どんな会社が本当に「エコな会社」なのかは、案外ハッキリしない。この点は「SRI(社会的責任投資)」を謳うファンドにも似た面がある。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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