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ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」

対談・開沼博vs.藤代裕之
記事の「炎上」は福島を語るのに重要だった

連載「震災後の福島に生きる」を終えて

開沼 博 [社会学者],藤代裕之
【第11回】 2013年9月20日
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福島を扱うのは面倒になっている…。 原発事故の収束も見えない状況のなか、メディアはさまざまな関係者が入り乱れる福島の日常で生きる人々や暮らしを伝えてきたのだろうか。全国から集まった記者が福島県いわき市を取材した「ジャーナリストキャンプ福島」の連載「震災後の福島に生きる」(全10回)を振り返りながら、連載を通して見えた、メディア、被災地が直面する問題や、ソーシャルメディア時代のジャーナリストの在り方について、いわき市出身で開催を提案した社会学者の開沼博さんと、キャンプを主催した日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)の藤代裕之代表が話し合った。

開沼博さん(右)とJCEJの藤代裕之代表

福島を記事として扱うのは
リスクが高い

藤代 JCEJは、組織や媒体の枠を超え、 ジャーナリストが「個」として切磋琢磨しあう場を提供する団体です。キャンプには、15人の新聞やウェブ、フリーの記者やデザイナーが全国から参加し、2泊3日で取材を行い、記事を執筆しました。開沼さんには5人いるデスクの一人として参加者にアドバイスもしてもらいました。

開沼 いわき市に眠っている物語を掘り起こしてもらいたいという当初の目的は十分達成することができました。福島では、テレビ局・ラジオ局の拠点は福島市と郡山市にあり、新聞も本社や支局は福島市にあり、メディアの拠点が中通りに集中しています。浜通りが津波・原発事故の直接的な影響という意味では一番受けているのに、よそ者的な報道がされているように感じることも多かった。無意識の中の情報格差が福島の中にもある。そのことを分かった上で、きれいごとばかり書くのではなく、賛否両論、炎上を起こすような議論をしてほしいと思っていました。

藤代 マスメディアやネットで扱われる放射能、原発という問題ではなく、読者が見たことのない記事をどう出すかが大きなテーマでしたが、結果的にいろいろな記事が出てきてホッとしています。

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開沼 博(かいぬま・ひろし) [社会学者]

1984年、福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。専攻は社会学。学術誌のほか、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。
著書に『漂白される社会』(ダイヤモンド社)、『はじめての福島学』(イースト・プレス)、『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)、『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(同、佐藤栄佐久との共著)、『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。
第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。

 

藤代裕之(ふじしろ・ひろゆき)

ジャーナリスト。広島大学卒。徳島新聞社で記者として、司法・警察、地方自治などを取材。NTTレゾナント(goo)でニュースデスクや研究開発支援担当を経て、2013年4月から法政大学社会学部准教授、関西大学総合情報学部特任教授。教育、研究活動を行う傍らジャーナリスト活動を行う。日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)代表運営委員。2004年からブログ「ガ島通信」を執筆している。


ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」

 原発事故報道に埋もれた「フクシマ」のリアルに、百戦錬磨のジャーナリストたちが迫る。新聞協会賞受賞、朝日新聞「プロメテウスの罠」の依光隆明。「フクシマ論」で一気に注目を浴びた気鋭の社会学者・開沼博。地元東北を代表する地方紙、河北新報で気を吐く編集委員・寺島英弥。ネットの視点を持つ前ニコニコニュース編集長・亀松太郎。そしてデータジャーナリズムの第一人者・赤倉優蔵。5月、一斉に福島県いわき市に入り、グループを率いて競い合うように取材した彼らが、震災から二年を過ぎた被災地で見たものは。

「ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」」

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