国際コラムニストの加藤嘉一氏(左)と「Change.org」日本キャンペーンディレクターのハリス鈴木絵美氏。日本、アメリカ、中国での生活経験を持つ点でも、二人は共通する
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DOYとは「だったら、お前がやれ!」の頭文字。現在国際コラムニストとして活躍する加藤嘉一氏が行動規範としている言葉だ。「対案のない無責任な批判はしない」「当事者意識をもって自ら行動を起こす」という意味が込められている。ハリス鈴木絵美氏はオンライン署名サイト「Change.org」の日本でのディレクターを務める。Change.orgは社会や身の回りのさまざまなことに対して、「変えよう」と思った人ならだれでも簡単にキャンペーンを立ち上げて署名活動を展開できるプラットフォームだ。まさに加藤氏の言うDOYに込められた「当事者意識をもって自ら行動を起こす」ことと合致する。また二人には日米を中心にグローバルに活躍するという点で共通する。二人の目には、日本社会はどう見えているのだろうか。政治やメディアなどを中心に話は盛り上がった。(取材・構成/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

世の中で語られていない
ストーリーがChange.orgにはある

加藤 今日、絵美さんにぜひ聞いてみたかったのが、Change.orgみたいな新しいタイプのメディアはソーシャルメディアが爆発的に普及するなかで、どういう立ち位置になるのかなって。これはもういろいろな人が言っていると思うけど、今の日本のメディアは発信スタイルも含めて型がある程度決まっていて、多様性やダイナミズムを反映しにくい。Change.orgはそういう凝り固まった現状を崩していくきっかけになり得るのかな。

絵美 日本のメディアって、エタブリッシュメントから評価されるように作られているんだろうなって思う。数ヵ月前に初めて記者クラブに行ってきたんだけど、あれってつまり、記者は記者クラブにずっと張り付いて、与えられた情報を報道するっていう仕組みなんだよね。記者は大臣のオフィスとか警察とかにずっと居て、情報をピックアップして記事を書いて報道している。

 そういう仕組みを飛び越えて、社会のなかで一番面白いネタを探しているっていうわけじゃない。だから、Change.orgで始まっているすごく面白いキャンペーンなんかは、彼らの目に留まらない。Change.orgのキャンペーンのネタは記者の人たちの担当に必ずしも当てはまるような話ばかりじゃないからね。世の中で語られていない、いろいろストーリーがChange.orgにはある。そこは既存のメディアにはないところじゃないかな。