派閥は悪なのか。政治資金はなぜ透明化できないのか。「派閥とカネ」に関する素朴な疑問を当事者らにぶつけた。テレビや新聞の報道からは見えてこない問題の真相に迫る。連載の第5回は、元東京都知事の舛添要一氏が、自身の政治資金問題と自民党裏金問題を比較。「今さら抗弁する気はないが…」と言いつつ、ぬぐいされない不公平感を吐露した。(取材・文/ライター 田之上 信)
――前回、「自民党と派閥」の優れた点として、理想論だけではなく、カネの問題など現実の政治が踏まえられていると指摘されました。舛添さん自身も政治家としてカネに苦労したと先ほど(前編)述べられていましたね。
私は政治学者ですが、実際に政治家になって大臣まで務めました。要するに政治の理論と実践の両方をやったわけです。こういう人間はほとんどいないと思います。
日本にも優れた政治学者はいっぱいいますし、みなさん著書などで正しい立派なことを述べられているけれど、実際に政治家になってみると、現実は違うんだよなというのが相当あることがわかるんです。
――舛添さんご自身、カネの問題で東京都知事を辞任されました。いまの政治資金の問題とは違うのでしょうか。
まったく違います。誤解が多いのですが、私は政治資金規正法の入りの部分、つまり収入の面では1円の不正もありません。
政治資金規正法というのは、入りのほう、ワイロしか規制していないんです。だから私は政治資金規正法にはいっさい触れていません。
――舛添さんの政治資金の問題は何がダメだったのですか。