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新型iPhone発表で株価急落のアップルに抱く憂い 
王者が敗者に滑落しかねないIT業界下剋上のうねり

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第294回】 2013年9月24日
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iPhone新製品発表と同時に株価急落
“普通の企業”化したアップルへの落胆

 9月11日、アップルは新製品であるiPhone 5sとiPhone 5cを発表した。株式市場は、その発表に対して株価急落という反応を示した。株式市場の投資家は、アップルの新製品に世界をあっと言わせるような驚きや革新性を感じなかったのだろう。

 IT関連業界の専門家の1人は、「アップルはかなり以前から“普通の企業”になっている」と指摘していた。彼の言わんとするところは、スティーブ・ジョブズ亡き後、アップルはおもちゃ箱をひっくり返すような新製品を作ることより、着実に収益を上げることを重視しているということだ。

 企業として収益を追い求めるのは当然なのだが、その手法がジョブズ流の革新性から、製品を顧客のニーズに合わせて微妙に変化させるようになっている。その手法であれば、おそらくどこの企業でも考えつく。だから“普通の企業”なのだ。

 確かに、今回発表された新製品は、従来製品の一部に改良を加えたに過ぎないように見える。しかもiPhone 5cは、価格の高い高付加価値の製品を扱う今までのアップルの戦略から外れて、今後販売台数の伸びが期待できる中国やインドなどの新興国を意識した、低価格・低付加価値の製品になっている。

 先進国でのスマートフォン市場が成熟期を迎えつつあること、またアップル自身の革新性が低下していることを考えると、新興国市場で受け入れやすい低価格製品を投入することは、経営戦略の観点からは間違っていない。

 しかし、それによってアップルが失うものも大きい。アップルの最大のレゾンデートル(存在意義)ともいうべき、「今までなかったものを世界で一番早く製品化する」という理念が失われている。株式市場はそれを危惧して、株式の利食いに走ったのだろう。

 携帯電話の構想は、かなり以前からあったと言われている。1979年、わが国で車載電話機を使った自動車電話サービスが開始された。その後80年代に入ると、持ち運びができるいわゆる「ポータブル電話サービス」が開始され、携帯電話の先駆けとなった。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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