カロリーゼロの飲料や食品を、「たくさん食べても太らないから大丈夫」と安心して、無意識のうちについつい食べ過ぎていませんか?実は、そんな心理的な要因だけでなく、カロリーゼロ飲食品に含まれる人工甘味料が体にさまざまに影響して、肥満につながる恐れがあることが分かってきました。肥満の主な要因と考えられる、人口甘味料の「ホルモンに作用する」「味覚を鈍化させる」「依存性がある」の3つについて、詳しくみていきましょう。

 巷にあふれる「カロリーゼロ」飲食品には、必ずと言っていいほど新種の人工甘味料が含まれています。この甘味料自体は、非常に甘みが強く少しの摂取で甘みを感じることもあり、カロリーを抑制する効果がありますが、実は怖い“副作用”があるのです。人工甘味料を摂ることで、逆に空腹感が増したり、甘み中毒になることで、食べ過ぎてかえって太ってしまった、しかも、それ以外に心や身体に変化があったという事例がたくさん確認されています。

 ここでは、Pくん(東京在住/26歳男性)の体験談を紹介します。あなたの周囲にも、同じような経験をもつ人はいませんか?

【Pくんのトンデモ体験談】
 東京大学理科3類に入学したとき、身長170cmに対して、体重は62〜63kg、腹囲は90cmでした。医学部4年生の冬頃、プライベートの問題で食生活が乱れ、ダイエット・ソーダを飲み始めると、12月頃には体重が70kg近くなり、腹囲は9cmになって服が入らなくなったのです。心配した母親からジム通いを勧められ、筋トレを始めたのですが、効果もなさそうだったので止めてしまいました。
 医学部6年生になって、医師国家試験の勉強を始めると、ストレスがたまりました。勉強すると無性に炭酸が飲みたくなり、ダイエット・ソーダの2ℓ入りペットボトルを毎日飲むようになりました。不思議と、ソーダとともにスナックやチョコレートが食べたくなり、それも良くなかったのでしょう。2月の国家試験前には、ついに体重73kg、腹囲94cmまで太ってしまいました。太ったせいか、寝ていると息苦しく、冷蔵庫に閉じ込められるような息苦しい夢をみたり、鬱々(うつうつ)とすることがよくありました。
 母親からダイエット・ソーダの飲み過ぎを再三指摘され、国家試験が終了してストレスもなくなった頃からは、ほとんどダイエット・ソーダは飲まなくなりました。代わりに、ミネラルウォーターを飲んでいます。
 その効果か、試験が終わってストレスから解放されたせいかわかりませんが、国家試験から半年たった現在は、体重が64kg、腹囲90cmまで戻りました。以前あれほど食べていた菓子類を食べたいと思うこともなくなりました。それに、太っていた頃、食べものを残すことに感じていた罪悪感もなくなって、不必要なものは食べたくないと思うようになりました。

 たったひとりの体験談だけで、カロリーゼロ飲料とそれに含まれる人工甘味料を肥満の元凶と決めつけるのは乱暴じゃないか、非科学的だ、と思われるかもしれません。確かに、ストレスなどそれ以外の要因も影響していたかもしれません。

 でも、人工甘味料の作用によって、食欲が増進されたり、太りやすい体質になることで、結果として太ることが、大勢を対象とした複数の調査・研究でも認められています。主には、「ホルモンに悪さをする」「味覚を鈍化させる」「依存性がある」という3つの原因が考えられます。ここからは、肥満につながる人工甘味料の3つの作用についてみていきましょう。