健康的、のコンセプトで次々に登場している「ダイエット飲料」。特に人工甘味料を使ったカロリーゼロ系の炭酸飲料はすっかり定着した感がある。ところが、最近人工甘味料に関する警告的な研究報告が相次いだ。

 米ワシントン大学医学部の研究者らは、BMI(体格指数)が平均42という「超」肥満者を対象に人工甘味料のスクラロースが血糖値に与える影響を調べた。つまり、ダイエット目的でカロリーゼロ系の飲料を愛用する人たちを対象としたわけ。

 参加者たちには2回、来院してもらい初回来院時には水を飲んだ後にブドウ糖を摂り血糖値を測った。さらに2回目の来院時に、今度はスクラロース入りの飲料を飲んでブドウ糖を摂り血糖値を測った。その結果、スクラロース入り飲料を飲んだ後は、血糖値がより上昇し、インスリンの分泌量が2割も増えたのである。

 従来、人工甘味料はそのまま排泄されるので血糖には影響が無いといわれてきた。しかし、今回の研究で通説が否定されたのだ。人工甘味料の刺激によるインスリンの過剰分泌が日常的になれば、インスリンの血糖を下げる作用が鈍くなる。「健康のための選択肢」だったはずが、逆に2型糖尿病を誘発する可能性がある。

 事実、今年の2月に報告されたフランス国立保健医学研究所の追跡調査では、人工甘味料のリスクを肯定する結果が出ている。6万6000人の中年女性を対象に砂糖入り炭酸飲料、人工甘味料入り炭酸飲料の影響を調べた。追跡中、両者とも2型糖尿病の発症リスクを上昇させたが、特に人工甘味料入り炭酸飲料を1週間に500ミリリットル飲んでいた場合は、一般的な砂糖入り飲料を飲んでいる人より2型糖尿病の発症リスクが15%増加。1.5リットル以上では59%も上昇した。100%果汁と2型糖尿病との関連は認められなかった。

 ちなみに“ライト”飲料のヘビーユーザーは肥満傾向にあった。こちらも、カロリーを減らそうという努力が裏目に出たことになる。カロリーゼロ系といえども「甘い飲み物」の摂り過ぎは禁物、ということだろう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド