マーケティングのハブとして成長してきたモバイルの位置付け
当連載第5回で取り上げたモバイル広告大賞の変遷だが、今回は前回紹介したクリエーティブ部門以上に、近年、注目を集めるようになったマーケティング部門の受賞作品の変遷について紹介する※。
※モバイル広告大賞のホームページ(http://www.mobileadawards.com/)では、過去の受賞作品をすべてチェックできます。
まずは初期の状況を振り返ってみよう。
2002年の第1回開催で注目されたのはキリンビバレッジの「ネットでFireキャンペーン」。缶コーヒーの外にシリアルナンバーを記載したシールを添付し、それをPCとモバイルのみで応募受け付けるキャンペーン。今では一般的なキャンペーンだが、ネットでしか応募を受け付けない大規模なキャンペーンはたぶんこれが初めてであり、PCからの応募をモバイルが上回った事もその当時のモバイルの使われ方を反映している。
2004年の第3回では、ユーザーが自分の写真をメールで送信すると、それを基にした似顔絵の待ち受け画像がプレゼントされる大塚ベバレジ(現・大塚食品)の「MATCH」のキャンペーンが受賞している。携帯カメラの精度が上がって行き、画像をやりとりする文化が一般化する中でのキャンペーンだった。
このあたりから2007年あたりまでに、モバイルはマーケティングの中に組み込まれるのが一般化し、既存メディアとモバイルが連携していく。「4マス」(4大マス媒体)はもちろんそれ以外の広告媒体との連携も強化されるようになっていく。
例えばOOH(屋外広告)とモバイルを連動させたアップルの「iPod」や、イベントとモバイルを連動させたマンダムの「ルシード」、店舗誘因を図った吉野家、それ以外にも、トヨタ、カルピス、リクルート、ドミノピザ、ナイキなどマーケティングにうるさい企業の社名がずらっと並ぶ。
その後は、顧客接点のハブとしてのモバイルがさらに注目を集めていく。24時間、30cm以内に持ち歩くモバイルを、企業が極めて有効な顧客接点と理解し、CRMツールとして見直し始めたのはそれほど古い話ではないが、エポックメイキングだったのは、ジーンズメイトと日本マクドナルドのケースだろう。