やっぱり思った通りになった。みずほ銀行は、10月8日に佐藤康博頭取が記者会見にひっぱりだされた。

みずほ銀・最悪のリスク対応、広報対応 <br />その稚拙さは歴史に残る<br />――作家・江上剛Photo:読売新聞/アフロ

 最初は、広報担当が資料を持って説明しただけだ。それも暴力団融資は担当役員止まりだったという説明。記者会見も拒否した。それで記者の怒りを買い、結局、副頭取が記者会見。それも身内とでもいうべき経済記者が多い日銀記者クラブでの会見だ。自前の施設で雑誌記者もみんな呼んでやらないところに「逃げ」の姿勢を見透かされてしまった。それでしどろもどろの会見になった。何もまともに答えられない。頭取は知らなかったと思う……などと言い、調べていないと、逃げるだけ。

頭取の首も風前の灯
後任は中から選ぶべからず

みずほ銀・最悪のリスク対応、広報対応 <br />その稚拙さは歴史に残る<br />――作家・江上剛えがみ・ごう
1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。
Photo by Kunihiko Takaoka

 そしてついに佐藤頭取が出て来て、昔の頭取に責任をなすりつけつつ、自分のことになると「知りうる立場にあった」と意味不明な答弁。そして責任は第三者委員会で決めてもらう??。自分の責任も取れない人がトップになっているのかと思うと、ああ、とため息しか出てこない。コンプライアンス委員会や取締役会で、暴力団融資の問題が提出されていたのに、「知りうる立場」にあっただけで、知ろうともしなかったというのだろうか。もしそれが事実なら、その危機意識の希薄さには言葉もない。

 まだまだ記者の追及は続くだろうし、金融庁は虚偽報告を受けたと怒っているようだから、佐藤頭取の首も風前の灯だ。その結果、みずほ銀行お得意の人事争いにならないかと心配になる。

 ここで一つ、みずほ銀行にアドバイスしておく。もしも佐藤頭取が辞任なんてことになったら、その後任は中から選ばない方が良い。

 後任を副頭取の中から選ぼうと、他の役員の中から選ぼうと、記者の質問は決まっている。