世界に認められる「プラスアルファ」を創出するには

──サービス産業を育成する具体的な方法とはどのようなものですか。

 商品やサービスの経済的価値は、一般に「品質÷価格」で表すことが可能です。したがって、品質を一定に保ったままで分母の価格を下げれば、その分価値は上がることになります。そのため、この10年以上、多くの企業は、いかに価格を下げるかに懸命に取り組んできました。大量仕入れによって原価を下げる。業務を徹底的に標準化して人件費を下げる。あるいは、円高を利用して海外から原料を調達して仕入れ値を下げる等々──。それが商品やサービスの価値を上げる方法だったわけです。

 しかし、スケールメリットや調達力を使ったそのような方法が可能なのは、大手企業に限られています。中小企業や個人事業主は、価格を下げることで価値を上げるのではなく、商品やサービスの品質に「プラスアルファの無形価値」を加味することで勝負していくしかありません。それが、中小企業や個人事業主の比率が高いサービス産業が成長していく最良の方法の一つである、と私たちは考えています。

 経産省が「おもてなし経営企業選」という取り組みで全国の優れたサービス事業者を選出しているのは、そのようなプラスアルファの実例を数多く紹介することで、中小企業や個人事業主の皆さんに改革のヒントをご提供したいと考えているからです。「おもてなし経営企業選」の選考基準は、「社員の意欲と能力を最大限に引き出し」「地域・社会との関わりを大切にしながら」「顧客に対して高付加価値・差別化サービスを提供する仕組みが定着している」こととされています。この三つ目の、「高付加価値・差別化サービスを提供する」ことが、まさしくプラスアルファを創出することに他なりません。

──プラスアルファについての定義はありますか。

 プラスアルファの具体的な内容に関しては、100社あれば100通りあると考えています。従来のサービス品質は、場合によってはスペックとして数値化することが可能です。価格はもとより定量的に表されるものです。しかしプラスアルファについては、さまざまな方向性があり得るので定量化することはできないし、定義付けることもできない。そう私は考えます。