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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

亡党亡国の危機を懸念する習近平ら“老紅衛兵”
改革断行という最後の賭けに踏み出せるか?

加藤嘉一
【第15回】 2013年10月22日
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中国共産党の威信を高めるため
街中に掲げる「群衆路線」の文字

 「永遠に党についていく」

 10月14日早朝、CBD(Central Beijing District)、国貿。北京に到着した私の両眼にこんなスローガンが飛び込んできた。市内の至るところには「中国夢」(チャイニーズドリーム)を掲げる看板が見て取れる。「中国夢」とは「中華民族の偉大なる復興」のこと。習近平総書記が就任以来重用している施政スローガンである。

 街を歩いていると、「党」という文字を至るところで見かける。2003~2012年の胡錦濤―温家宝時代と比べても、共産党政権が「党」という概念を全面的に押し出し、「党の支配の下でこそ中国は安定し、繁栄する」という理念を人民たちに訴えている。そういう空気を北京で感じた。

 党のプロパガンダや言論統制を担当する中央宣伝部を10年間務め、昨年11月からトップセブンである政治局常務委員入りした劉雲山氏が担当者として引っ張る「群衆路線教育実践活動」も、「党」の威信を高めるひとつの動きとして見て取れる。街の至るところに「群衆路線」と書かれたスローガンが掲げてあった。

 この“活動”は2013年6月18日に正式に始動したもので、「幹群関係」(幹部と群衆の関係)を強化するために展開されていると言われる。国営新華社通信のオフィシャルページによれば、「活動は党の先進性と純潔性を掲げ、人民のための、清廉な、実情に立脚したプロセスでなければならない」とある。

 「無駄を省き、幹部たちが公費で贅沢をしない」という一項も含まれる。実際、今回北京に滞在してみて強く感じたが、共産党関係者らが日常的に接待に使うような高級レストランは次々に規模を縮小するか、倒産に追い込まれていた。習近平氏が「行き過ぎた接待」を徹底的に取り締まっているからだ。

 この政策は国内世論で大々的に宣伝されている。「私たち共産党員は人民が必死になって稼いだお金を無駄使いしていませんよ」ということをプロパガンダするためである。これも「群衆路線」活動の一貫であるようだ。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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