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岸博幸のクリエイティブ国富論

誰も書かない補正予算削減の舞台裏
某省庁は政治主導でなくていいのか?

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第59回】 2009年10月9日
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 鳩山政権が新たな財源を捻出すべく、前政権が今年春に策定した14兆7千億円の補正予算の執行停止を頑張っています。10月6日の時点では2兆5千億円積み上がりましたが、その内情から“脱官僚”の危うさを垣間見ることができますので、今回はそのあたりを少し説明したいと思います。

削減率に見える官僚と大臣の関係

 補正予算額のうち執行停止になった金額の割合を各省毎に見てみますと、面白い相関関係が分かります。官僚にとって物わかりの良い大臣がいるところほど、補正予算の削減率が低いのです。

 その典型である某省庁(K省としましょう)を例にとれば、この官庁では既に幹部の人たちが以下のような会話をしていたと聞いています。

 「うちに来てくれた大臣は、本当に物わかりが良くてやりやすい」

 「大臣があまりに楽なので、それが外に見えないように注意しよう」

 つまり、K省では“脱官僚”が既に危機に瀕していたのです。そして、その10月6日に公表されたデータからそのK省の補正予算削減率を見ると、僅かに一ケタ台と、全省庁の中では明らかに劣等生となっています。

 官僚の特性として、一度獲得した予算や権限は意地でも手放さないように頑張ります。でも、今年春の補正予算は明らかにムダな予算の塊であり、それを大幅に削減することは、民主党政権が掲げる“脱官僚”、政治主導を示す第一歩になったはずです。

 実際に、霞ヶ関から日々入る情報から政務三役が政治主導を確立しつつあると思われる国土交通省や総務省などでは、補正予算の削減率はかなり大きな数字となっています(ちなみに、削減率が最大なのは農水省ですが、まあここの補正予算はムダなものが大半でしたので、当然と言えましょう)。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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