ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
50代“アラウンド定年”社員のトリセツ 片山繁載

役職定年、勇退という名の“お払い箱”
「キャリアショック」に落ち込む50代の葛藤

片山繁載 [人事・キャリアコンサルタント/日本マンパワー取締役]
【第2回】 2013年10月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

前回は、シニア活用調査結果から見た50代社員の評価ギャップ、現場関係者の50代社員に対するホンネの声などをみてきた。筆者の関心は少々問題も多くなった50代社員を自社の仕事ネットワークに上手に組み入れるために、組織や周囲はどんな対応を講じるべきかにある。

 50代社員を取り巻く人事環境の変化、とりわけ役職定年・早期勇退制度にまつわる変化が、彼らに「キャリアショック」をもたらす結果、様々な変化への対応パターンが生まれている。実際、うまく役割変化を受け容れ、早めのセカンドキャリアを上手にスタートする方もいれば、上手くなじめず様々な問題を引き起こす方もいる。そこで第2回である今回は、これが50代の人材活用の課題となることを述べたい。

もう役職定年か、
オレってお払い箱にされるの……???

 わが国の大手企業のほぼ5割(*)が、役職任期制・役職定年制など(以下「役職定年制等」という)、一定の役職期間・役職者の上限年齢を定め、ポストの明け渡しによる管理職者の新陳代謝を図っている。年功序列の風土は一新されつつあるが、経営環境の変化に対応するため、管理者の実力発揮正味期限を概ね50代半ばに設定し、“デキル管理者”もひとまず、この年齢あたりで卒業し、後輩に道を譲るというのが人事マネジメント上の常道になっている(役職定年・定年制是非の議論があることは承知だが、本稿では所与の制度の中でいかに人材マネジメントを行うかに焦点をあてていく点をご了解願いたい)。

*厚生労働省「平成21年賃金事情等総合調査(退職金、年金及び定年制事情調査)」によると、慣行による運用含め48%の企業が役職定年制を導入している。

 会社にとっては組織の若返り、新陳代謝を意図した役職定年制度も、当の50代社員にとってこの制度・役割変化の受け止めは、複雑な気持ちだ。こんなに頑張ってきたのに、肩書き・権限は無くなる、給与は下がる、やりたい仕事は出来なくなる…もう、あなたに大きな期待はありませんからと言われたようなもので、まるで体よく会社のお払い箱にされたように感じる。希望退職などのリストラではないが、この役職定年による『キャリアショック』の現実は実際の定年とはまた違う残念な気持ちが残る。

 人事制度上、自分にもいつかその日が来ることは分かっているが、雇用市場の厳しさが分かっているので、転職を考える人はまずいない。まだ先のことと思いながらも、自分の番が来ると、それに従うしかない。役職定年前後の時期はなんともモヤモヤしながらも、情けない気持ちに襲われる50代シニアも多いはずだ。

 筆者はよく、役職定年者の研修に係わっている。人事担当者からの、説明は「長年の管理者としての働きに感謝申し上げます。わが社の役職定年制度はこうであり、今後は、ベテランの味を活かして、あらたな役割・立場での企業貢献、技能伝承、後輩育成に尽くしてください」である。この説明を聞かされる参加者は、『分かってはいるがなぜか面白くない…。なんで30余年働き、管理職として頑張っているのにここで終わりなんだ?まだまだこれから頑張れるのに…』という、50代半ばで“強制卒業”させられる管理者のなんとも腑に落ちない不満顔が見て取れる。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

片山繁載 [人事・キャリアコンサルタント/日本マンパワー取締役]

法政大学社会学部卒業。大学卒業後、株式会社日本マンパワーに入社。教育事業部、人材開発部で教育研修業務を経験。1996年取締役就任。取締役退任後、1998年再就職支援事業を立ち上げ、民間企業・行政機関の人事・キャリアコンサルタントとして、多数の個人・組織のキャリアカウンセリング、キャリアサポートのコンサルに従事。傍ら行政機関の雇用・就業支援のコンサル、キャリアカウンセリング、一般企業のキャリア開発研修の講師・ファシリテータを経験、現在に至る。現在、株式会社日本マンパワー人事・キャリアコンサルタント、 キャリアデザイン研修インストラクター、取締役。


50代“アラウンド定年”社員のトリセツ 片山繁載

雇用延長制度の導入、公的年金支給開始年齢の引き上げなどにより、50代以上になっても企業で働くことが現実的になりつつある。しかし、当の50代社員は、やる気を喪失していたり、年下上司などからの評価が低い場合が少なくない。これから会社で増え続ける「中高年社員」は、どうすれば50代以降も活躍できるのか。また、周囲は彼らをどう動機づければ戦力にできるのか。

「50代“アラウンド定年”社員のトリセツ 片山繁載」

⇒バックナンバー一覧