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生活保護のリアル みわよしこ

釧路は本当にユートピアなのか
多様な社会参加を目指す生活困窮者支援のあり方

――政策ウォッチ編・第46回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第46回】 2013年11月1日
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来週にも参院での審議が始まると見られている生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案。

生活困窮者自立支援法案は、いくつかの地域での生活困窮者支援の実践をもとに、社会保障審議会での議論を通して成立したことになっている。では実際の実践は、どの程度反映されているであろうか?

今回は、先駆的な困窮者支援を展開してきた釧路市の事例を通して、有効な生活困窮者支援・ゴールとされるべき「自立」のあり方について考えたい。

「ユートピア? 違いますよ」

櫛部武俊(くしべ・たけとし)さん。現在は釧路社会的企業創造協議会副代表として、市民の暮らしと仕事を支える場の発展に貢献する。前職は釧路市役所職員。一貫して福祉畑を歩んだ。審議会委員等の経験も豊富
Photo by Yoshiko Miwa

 「このところ『釧路はユートピアだ』という話が広まったりしています。でも、それは違います」

 と語るのは、櫛部武俊さん(釧路社会的企業創造協議会)だ。

 1951年生まれの櫛部さんは、大学で福祉を学んだ後、福祉職の採用を行っていた当時の釧路市役所に就職。市立障害児施設を経て、1988年に保護課(当時)へ。以後、2011年に定年を迎えるまで、釧路市の生活保護行政と生活困窮者支援の前線に立ち続けた。

 櫛部さんは、釧路市の独自の生活困窮者支援を切り開いた立役者の1人として、多方面から評価されている。本連載でもリアルタイムで紹介しつづけてきた厚労省・社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の部会委員の1人でもあった。

 「逆転の発想なんです。お金がないからこそ、力をそれぞれ出して頑張ろうと。釧路は、辺境の地ですから」(櫛部さん)

 長年の間、炭鉱産業、製紙・パルプ産業、水産業に支えられてきた釧路市。しかし、2002年に近郊の最後の炭鉱が閉山して以後、いずれの産業にも地域を支えるほどの力は期待できなくなっている。2008年、リーマンショック直前の5月には、釧路市の有効求人倍率は0.26倍にまで低下した。求職者の心がけや努力によって就労が可能になる状況ではない。しかも、失業者は産業構造の転換によって生み出されている。産業構造が転換した結果、それまでのスキルや経験が全く評価されない状況が広範に発生しているということでもある。

 増え続ける失業者、自然な流れで増加の一途をたどるしかない生活保護当事者数。地元産業界には、その人々の就労先となるだけの力は期待できない。

 釧路市の生活困窮者支援は、そんな状況が長年にわたって続く中で展開されてきた。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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