猛暑やゲリラ豪雨、そして季節外れの大型台風襲来。毎月のように異常気象に関するニュースが続くなか、9月27日に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書が、一部で波紋を広げている。その予測によると、今世紀末に地球の平均気温は最大4.8度、海面水位が同82センチも上昇するというのだ。さらに、日本も含む中緯度の地域で今世紀末までに極端な降雨が、より強く頻繁になる可能性が非常に高いとの言及もある。この報告書の内容を見たビジネスパーソンからは、「日本が沈没するのではないか」という懸念も聞かれた。報告書の内容が本当だとすれば、近未来の日本はどうなってしまうのか。専門家の声を交えて、報告書から想起されるリスクの可能性をリサーチしてみよう。(取材・文/岡徳之、協力/プレスラボ)

猛暑にゲリラ豪雨、季節外れの台風
異常気象がもたらす天変地異への不安

 10月に入っても続いた猛暑日、度々訪れた夏季のゲリラ豪雨、そして季節外れの大型台風――。まさに異常としか言えない空模様だ。気象を伝えるニュースでは、毎月のように「例年にない」という言葉を聞く気さえする。

「やはり最近、日本の気候はおかしい。異常気象は天変地異の前ぶれではないか」

 世間でそんな不安の声を聞くことも、珍しくなくなった。

 そんななか、こうした「漠然とした不安」を刺激するような発表が、9月末に行われた。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)(Intergovernmental Panel on Climate Change)が、最新の評価報告書を発表したのである。

 この報告書は、2007年の第4次評価報告書以来6年ぶりに発表されたもので、この間の新たな研究成果に基づき、地球温暖化に関する最新の知見がとりまとめられている。

 また、「気候変動に関する国際連合枠組条約」をはじめとする、地球温暖化対策のための様々な国際的な議論に科学的根拠を与える重要な資料、という位置づけである。