毎年12月に京都・清水寺で同寺の森清範貫主が揮毫し、テレビのニュースなどで流れる「今年の漢字」は、いまや年末の風物詩と言える。これは日本漢字能力検定協会が1995年から実施しているイベントだ。

 一年を振り返り、その年の世相を表す漢字一字を、11月1日から12月5日までの期間に全国から広く募集し、最も応募数の多かった漢字が「いいじひとじ」のゴロ合わせである「漢字の日・12月12日」(土・日の場合は平日)に発表される。このイベントは今年で19回目を迎えるが、振り返ると選ばれた漢字がその年々の景気の良し悪しを映しているように感じられる。

「今年の漢字」の募集始まる <br />「倍」が当選すれば金融政策の認知度も向上

景気の良し悪しと
「今年の漢字」の関係は

 まず景気の悪い時の例を挙げると、97年と98年は「倒」と「毒」で、暗い漢字が選ばれた。不良債権の毒が日本中に回り大手銀行や証券会社が破たんした。08年リーマンショックの年は「変」だった。FRB議長に「100年に1度の津波」と言わしめた未曽有の大不況が世界を襲い、世界の経済情勢はまさに一変してしまった。

 一方、景気が持ち直した99年は「末」。世紀末を予感させた金融危機の暗さと、IT企業が表舞台で活躍し始めた「末広がり」の明るさが混在しているところがこの年らしかった。モーニング娘。の「日本の未来は……、世界がうらやむ……」という歌詞の「LOVEマシーン」が大流行した年でもあり、2000年という新しいミレニアムへの期待が膨らむ兆しが窺えた。小渕政権が大型景気対策を打ち出し、IT景気が盛り上がった。