伝わらない文章、7つの壁
われわれは、多くの文章に囲まれて生きています。わかりやすいもの、そうでないもの。感動するもの、そうでないもの。この世には少数のよく「伝わる書きモノ」と多くの「伝わらない書きモノ」で溢れているともいえるでしょう。
伝わらない書きモノには、共通の問題があります。7つ、挙げましょう。
<1> 文が長い(と、理解できない)
<2> 単語が難しい(と、すぐ止まる)
<3> 形容詞が多い(と、曖昧になる)
<4> いろいろ混ざっている(事実と推測などが)
<5> 全体が長い(と、さまよう)
<6> 刺激が少ない(と、すぐ飽きる)
<7> あらすじ説明ばかり(で、つまらない)
このうち<3>形容詞が多い、ことの問題については、第63講「形容詞に逃げない ~ポーター『競争の戦略』の本質」で取り上げました。形容詞(や形容動詞)は元来、相対的かつ定性的なものなので、曖昧なのです。「強い」「速い」「安い」だけでは、誰に対してどれくらいそうなのかまったくわかりません。
マイケル・ポーターの「業界分析」は、そういう意味では定量性がまったくない、形容詞の連続(*1)です。彼はその曖昧さを、数百の業界事例を添えることで補いました。
*1 事例が数百例、載っているので自分の業界がどうかを確かめるには役立つ。ただしそれの裏づけを取ることは『競争の戦略』だけでは不可能。