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三谷流構造的やわらか発想法

形容詞に逃げない
~ポーター『競争の戦略』の本質

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第64講】 2013年7月11日
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幼児には形容詞が一番学びづらい

子どもたちはまず、名詞から憶え始めます。「マンマ」や「ワンワン」、「ママ」は初語(初めて話す言葉)の不動のレギュラーです。

 でも面白いことに、基本は一般名詞が先で、固有名詞が後だそうです。固有名詞は「特定のモノにだけ紐づく言葉」なので憶えやすいかとも思いますが、子どもは、より使い回しの効く言葉の習得を優先するのです。

次に憶えるのが動詞です。行動や状況を示す言葉の習得は、形がないせいもあって簡単ではないのです。そして一番最後が形容詞(や形容動詞)です。「たかい」「ひくい」「あかい」「しろい」「あかるい」「くらい」「おおい」「すくない」が、子どもには難しいのです。

 なぜでしょう? それは形容詞がすべて「抽象的」でかつ「相対的」なものだからです。「走る」と「歩く」は別の種類の動作であって、見る人によって変わることはありません。中間的な動作もあるかもしれませんが、基本、絶対的なものなのです。

 でも形容詞は、見る人によって同じものでもまったく違って表現されます。身長175cmの男性は日本人平均よりは「高い」のですが、平均身長180cmのドイツ人男性から見れば「低い」となります。でも昔、私の上司だったドイツ人男性は身長187cmでしたが、彼の兄弟の中では一番背が低く「Little Peter(チビのピーター)」と呼ばれていたとか。

形容詞は、定性的というだけではなく、そもそも視点(誰にとって)によって逆にすらなりうる、危険な代物なのです。なのに、世界には形容詞が溢れ、それはビジネス界にも広く浸透しています。

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三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

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