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格差社会の中心で友愛を叫ぶ

親の「うつ」で施設への入所が急増!
子どもを苦しめる“心の傷”と貧困の連鎖

西川敦子 [フリーライター]
【第6回】 2009年12月25日
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 虐待や経済的要因などで児童養護施設に入所する子どもが増えている。中には親の“うつ”が原因という子たちも――。

 ちょっとしたつまづきから、“親子別れ”に発展しかねない今の時代。夫婦の力だけでは子どもを育てられない、いわば“子育て力喪失症”が、日本中に広がっている。

 危機に直面する子育ての実態について、現場に聞いてみた。

乳児院の入所理由トップは
「母親のうつ」

 夫婦の子育て力が落ちている。ある地方都市の民生委員に聞いてみたところ、こんな話が飛び出してきた。

 「近所から『同じアパートに住む小学生の男の子が育児放棄されているんじゃないか』という通報がありましてね。見れば、お風呂にもちゃんと入っていないみたいだし、服も汚れっぱなし。

 それで家に行ってみたら、中はもうめちゃくちゃ。ゴミの山なんです。よく聞けば、お父さんは会社をクビになり失踪してしまっているという。お母さんはうつを患い、一日中だるくて寝ている状態でした。いろいろ話し合った結果、男の子は児童養護施設に預けられることになりました」

 民生委員は言う。

 「かつては、施設に入所する児童や乳児というのは、ほとんどが親御さんを亡くした子だったんです。ところが今は違う。失業や離婚がもとで子どもを育てられなくなる親が大勢いるんですよ」

 さらに親のうつが理由で、乳児院に預けられる子どもも増えている。

 2005年の全国乳児福祉協議会の調査によれば、入所理由のトップは「母親の精神疾患」。全体のほぼ18%(約3200件)だ。15年前の約10%(約2640件)と比べても増加していることがわかる。

 女性ホルモンの変化から産後うつにかかるケースは以前から多かったが、そこに夫の失業や収入減、夫婦仲の悪化といった不安要素が加わり、こじらせる人が多くなったのだろうか。

 雇用不安、社会不安が高まる今の時代、親たちはさまざまなリスクに取り巻かれている。平穏無事な日常を送っていたはずが、ある日ちょっとしたことで足を踏み外し、子育てができなくなってしまう――そんな“子育て力喪失症”は、今やどんな夫婦にとっても無縁の病気ではない。

ホームレス化しかねない
施設の子どもたち

 子育てできない親の子どもたちは、どんな運命をたどるのだろうか――。

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西川敦子 [フリーライター]

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。


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