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田岡俊次の戦略目からウロコ

沖縄近海でエスカレートする日中の演習
自衛隊の「島嶼防衛」は予算獲得のネタ

田岡俊次 [軍事ジャーナリスト]
【第14回】 2013年11月14日
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安倍総理と習近平主席は9月のG20(金融・世界経済に関する首脳会合)で握手をかわし「戦略的互恵関係の推進」を確認した。その一方で、日中双方の演習は逆にエスカレートしている。両国間に「海上事故防止協定」がないままに行動をエスカレートさせるのは、偶発的な衝突を招きかねない危険な行為だ。自衛隊は島嶼(とうしょ)防衛を掲げるが、そのカギとなる制空権ではあきらかな劣勢にある。にもかかわらず、島嶼防衛を掲げるのは、組織防衛と予算獲得のネタにするためだ。国家安全保障会議法案が衆議院で可決され、年内にもそれが発足する見通しとなったが、自衛官などの思惑に引きずられ、緊張を高める方向に進むのか、戦略的互恵関係の推進に向かうのか。日本版NSCは発足早々、多分日本の将来にとり最大の課題に直面することになりそうだ。

エスカレートする日中の演習

 昨年の9月11日の尖閣諸島「国有化」以来1年2ヵ月、日中の経済関係は相当回復し、中国は6月以降、領土の紛議は「棚上げも可能」と言い出した。米国が双方に「一方的な現状の変更はしない」よう求めているのに合わせた姿勢で、日本国内でも対中関係の修復を求める声が強まり、安倍総理と習近平主席は9月5日のサンクトペテルブルクのG20(金融・世界経済に関する首脳会合)で握手をかわし「戦略的互恵関係の推進」を確認した。

 ところが日中双方の沖縄近海、西太平洋での演習は逆にエスカレートしている。中国海軍は10月24日から11月1日にかけ、はじめて北海艦隊(黄海担当・司令部は山東省青島)、東海艦隊(東シナ海、台湾海峡担当・司令部は浙江省寧波)、南海艦隊(南シナ海担当・司令部は広東省湛江)の3艦隊が合同した「機動5号」演習を沖縄南西、フィリピン東方の海域で行った。海上自衛隊は10月28日から30日にかけ沖縄周辺で中国水上艦11隻を確認した。他に潜水艦も多数参加したと見られ、ミサイルや実弾の射撃訓練も行われた。

 演習に先立ち中国は10月23日、ロンドンの国際海事機関や日本に対し、沖縄本島の南約700km(ルソン島の東約500km付近)の海上に3つの射撃訓練海域を24日から11月1日にかけ設定することを通報、これを受けた海上保安庁の航行警報も出されていた。

 中国国防省の楊宇軍報道官は10月31日「日本の護衛艦107号(いかづち、6200t)が10月25日午前10時41分から、28日午前7時32分まで退去の呼びかけを無視して演習海域にとどまり、日本の偵察機も何度も演習海域に上空に侵入して追尾、偵察、監視を行い、演習を妨害、艦隊や飛行機の安全をおびやかした」と発表、中国は同日、日本の北京大使館の防衛駐在官を国防省に呼び抗議した。

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田岡俊次 [軍事ジャーナリスト]

1941年、京都市生まれ。64年早稲田大学政経学部卒、朝日新聞社入社。68年から防衛庁担当、米ジョージタウン大戦略国際問題研究所主任研究員、同大学講師、編集委員(防衛担当)、ストックホルム国際平和問題研究所客員研究員、AERA副編集長、編集委員、筑波大学客員教授などを歴任。動画サイト「デモクラTV」レギュラーコメンテーター。『Superpowers at Sea』(オクスフォード大・出版局)、『日本を囲む軍事力の構図』(中経出版)、『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』など著書多数。


田岡俊次の戦略目からウロコ

中国を始めとする新興国の台頭によって、世界の軍事・安全保障の枠組みは不安定な時期に入っている。日本を代表する軍事ジャーナリストの田岡氏が、独自の視点で、世に流布されている軍事・安全保障の常識を覆す。さらに、ビジネスにも役立つ戦略的思考法にも言及する。

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