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宝珠山卓志 モバイルフロンティアを駆け抜けろ!
【第10回】 2013年11月29日
著者・コラム紹介
宝珠山卓志 [株式会社D2C 代表取締役社長]

Facebookの高い会員比率を背景に、
若年層向けに実験的なネット広告を展開

モバイルビジネスのアジア事情最前線(タイ編)

 もう一つの事例は、トヨタ自動車のYaris(日本名:ヴィッツ)。同ブランドのFacebook広告から、Yarisの機能を体験できるキャンペーンアプリにアクセスすることが出来、一連の疑似体験が終わると、その体験がショートビデオとして編集提供され、友達にシェア、拡散することが出来る秀逸な仕掛けである。

 自分自身のニュースフィード上でバナー広告をクリックすると、Yarisが飛び出してくる。そこから男女の人気タレントが下りてきて、ユーザーに語りかける。「ドライブへ行こうよ!」。そして、そのユーザーの実際の友達も誘おうと言い出すのだ。ユーザーが友達を選ぶと、そのアイコンを落として、Yarisのトランクに運び込む。それからさらに、その二人が身体を使って、リアル(?)にボタンをクリックして、行き先を選び、スタート。

 もちろん、実際のニュースフィードではなく、あくまでAPIを使って再現しているのだが、そこで使われる情報はユーザー本人のものだからリアルだ。画面上をドライブし、目的地に到着、友達のアイコンもトランクから飛び出すという仕掛けだ。

 こうした事例を見ていると、確かに、クリエイティブや技術の程度で日本との差異はそれほど感じない。

 また、実際の流通を巻き込んだ事例は少ないと前回、インド編で言及したが、MCFIVA社は、タイの大手スーパー向けにモバイルをCRMに活用しようという試みを始めている。

 グローバル展開している英国大手スーパーのテスコは、タイでは流通最大手として展開しているが、MCFIVA社はテスコのモバイルCRMを手掛け初めている。コンテンツは、店舗ロケーション、セールス・プロモーション、Eクーポン(バーコード)など。プラスチックの会員カードのバーコードをスキャンすることでアプリと紐づけ可能で、一定のモバイルCRMが実現できていると言える。この辺りの概念は日本とまったく変わらない。

 MCFIVA社が手掛けた他の事例には、Webカメラを使って口角の上がり具合を検知して、いかに良い笑顔を見せるかを競い合うといった仕組みや、マイクを使って、声による命令でウェブ上の畑の植物を育てるといった、ユーザーとのインタラクションを実現しているものもあり、新しい技術の活用は積極的に行なわれている。

 インドと同じで、マストバイキャンペーンや、QRコードを使ってネットへのアクセスを促すという事例はまだまだ少ないが、少なくともネット完結型のキャンペーンでは、若年層向けを中心に先進的な試みが進んでいる。

 いずれにしても、日本で育んだ先進のコンテンツ技術やマーケティング手法などを現地に持ち込み、馴染ませることも当然有益であるが、それと同じくらい、現地の手法や技術、あるいはアイデアから学ぶ、そうした謙虚な姿勢も忘れてはならないと思える。

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宝珠山卓志[株式会社D2C 代表取締役社長]

1972年2月9日生まれ・東京育ち・妻と子供一人・趣味はシャンパーニュ。
1995年早稲田大学社会科学部卒業後、電通入社。マーケティング局配属後、第7営業局NTTドコモ担当。2000年D2Cへ出向。営業部長、営業推進部長を経て、2004年取締役COOに就任。2010年代表取締役に就任。現在に至る。


宝珠山卓志 モバイルフロンティアを駆け抜けろ!

モバイルマーケティングの第一人者が、業界動向や日々の話題にふれつつ、日本あるいは日本企業が持っている力の再検証と、それらを踏まえたグローバル市場における日本企業のポテンシャルを前向きに検証していく。

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