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湯谷昇羊 不屈の経営者【列伝】

ファイアストンでリストラ主導の異色経営者
64歳で起業、GEデジカメで市場拡大へ

――ジェネラル・イメージング・ジャパン社長 小宮弘

湯谷昇羊 [経済ジャーナリスト]
【第5回】 2009年12月17日
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世界企業GE(ゼネラル・エレクトリック社)のデジタルカメラの独占販売権を持つジェネラル・イメージング社(GIC)の日本法人ジェネラル・イメージング・ジャパン。その社長、小宮弘(67歳)は異色の経歴を持つ経営者だ。

ファイアストン再建の
矢面に立ったブリヂストン時代

小宮弘
ジェネラル・イメージング・ジャパン社 小宮弘社長

 小宮は大学を卒業して、ブリヂストンに入社した。若い頃の1年4ヶ月に上るアフリカでの単身赴任生活が、小宮の食に対する価値観を変えた。アフリカの食生活を体験すると、ご飯、味噌汁、タクアンが夢のような食事だったという。なにより、日本での食事は安全への気配りが必要ない。

 アフリカから帰って社内食堂に行き、天ぷらそばを食べたとき、自然に涙がポロポロと流れた。「こんな美味しいものがあったのか」と感激していると、周囲からは不思議な様子で見られた。小宮によると、この体験以来、日頃食べる食事は、「美味しい」「より美味しい」「もっとも美味しい」の3種類しかなく、「不味い」というものはなくなったという。

 タイヤを売り歩いて世界中を回っていた小宮に転機が訪れたのは、ブリヂストンが全米第2位のタイヤメーカー、ファイアストンを3300億円で買収したことによる。1988年、小宮46歳のことである。小宮は事業推進部長、北米本部長を歴任、ファイアストンの再建を命じられた。

 ファイアストンに行ってみると、100年近い老舗企業だっただけに、負の遺産が続々と出てきた。小宮は400億円もの赤字に苦しんだ。日本のマスコミは「ブリヂストンのファイアストン買収は大失敗だった」と報じる。

 悪いことにタイヤが熱でパンクするなど、リコール問題も発生した。タイヤの不良品は人命に関わる。(こんなことは二度と起こしたくない)そう思った小宮は、日本人開発者を集め、「(熱で)黒くなったタイヤをみんなで食べよう」と言って食べたという。

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湯谷昇羊 [経済ジャーナリスト]

経済ジャーナリスト。鳥取市出身、1952年生まれ。法政大学経済学部卒業。1986年にダイヤモンド社入社、2004年週刊ダイヤモンド編集長。2007年営業局長兼論説委員、同年取締役。2008年同社退社。2000年に立命館大学客員教授として教鞭をとる。主な著書に、「迷走する銀行」、「生保危機の真実」、「会社再建」、「立石一真評伝 『できません』と云うな」(いずれもダイヤモンド社刊)、「サムライカード、世界へ」(文春新書)などがある。最新刊は『巨龍に挑む 中国の流通を変えたイトーヨーカ堂のサムライたち』(ダイヤモンド社刊)。


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