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中国の防空識別圏設定にアジア覇権を保てるか?
手腕が未知数のケネディ氏を送り込んだ米国の危機感

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第304回】 2013年12月3日
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「日本重視」のメッセージか?
ケネディ氏を送り込んだオバマの窮地

 最近、わが国を取り巻く政治情勢が大きく変化している。同盟国である米国のオバマ大統領は、国内の財政問題やシリア攻撃の中止など、いくつかの失点を重ねていることもあり、支持率がかなり低下している。米国内でも、オバマ大統領の政策運営能力や外交手腕に疑問符がつき始めているようだ。

 そのオバマ大統領は、注目度が高く、親日派として知られるキャロライン・ケネディ氏を駐日大使として送ってきた。今回のケネディ氏の派遣の背景には、オバマ大統領が、アジアの同盟国としてわが国を重視している姿勢を示す思惑があるのだろう。

 ケネディ氏は着任以来、すでにわが国のメディアで大きく取り上げられており、大統領の目論見はとりあえず相応の成果を上げていると言える。ただ、ケネディ氏の外交手腕に関しては未知数の部分が多く、中国の台頭によって通商・安全保障などの面で複雑さを増しつつある情勢に同氏がいかなる対応を見せるか、注視する必要があるだろう。

 一方、中国の周辺国に対する強気の姿勢は変わらず、不穏な動きを見せ続けている。11月に入って中国は、突然わが国とかなりの部分で重複する、東シナ海上の独自の防空識別圏を設定することを一方的に宣言した。そうした宣言は極めて異例なことで、欧米や一部のアジア諸国のメディアでも“挑発”として扱われるケースが多く、批判的な論調が目立っている。

 わが国を取り巻く国際情勢は、今後も激しく変動することが予想される。特に、民主化の遅れという深刻な国内問題を抱える中国は、これからもわが国を始め、台湾、韓国、ベトナムなどの周辺国に対して挑発的な態度を取り続けることが予想される。わが国の外交能力が試されるケースが増えるだろう。

 最近の国際情勢の変化の中で、特筆すべきは米国オバマ大統領の指導力の低下だろう。今でも米国は世界最大の経済規模を誇り、ITなど新技術でも世界をリードする存在であることは明らかだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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