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金融市場異論百出

過熱する中国の投資ブーム
「中国全土」では持続か

2007年11月8日
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 「全北京向上看」(全北京は上を見よ)。

 北京市内に最近できた大型超高級ショッピングモール「THE PLACE」の入り口にそう書いてある。それを読まなくとも、道行く人びとはぽかんと口を開けて見上げている。広大な敷地の中心(屋外)に巨大な液晶スクリーンが屋根のようにかけられていて、さまざまな映像が映し出される。すさまじく派手な演出だ(米ラスベガスに似た施設があるらしい)。

 ここ以外にも市内には驚くほど大規模かつ高級なショッピングモールがいくつか新設されていた。いずれも欧米ブランド店がテナントとして多数入っている。価格は東京と同程度である。うわさによると、地方から来た不動産業者などがルイ・ヴィトン等で店頭の商品を丸ごと購入するようなケースもあるという。地元に帰ってから、関係者にあちこち配るらしい。

 日本語が流暢な北京の観光業経営者に2年ぶりに会ったところ、どことなく着ている服が上等になり、クルマも高級になっていた。株に投資している資金がここ2年で5倍になったそうだ。

 彼の友人の多くも株や不動産の価格上昇で暮らしぶりがよくなったという。彼らは携帯電話機を、最新型が出るたびに買い替えている(日本円で3万~4万円程度。ノキアやサムスン電子製が人気)。会食時に携帯電話を机に置くことが多いが、旧機種だと馬鹿にされると笑っていた。

 過熱した中国の投資ブームが北京オリンピック後に冷え込むと懸念する声が日本では多い。確かに、不動産や株などに一時的な調整が表れる可能性はありそうだ。ただし、注意が必要なのは、中国全体における北京の比率は小さいという点である。

 北京のある有力地元エコノミストによれば、中国のGDPに占める北京の比率は3%程度にすぎないという。上海を含めても7~8%である。一方、先日の共産党大会でも、地方経済への投資は推し進めていくことが確認された。沿岸部で減速が生じても、中国全体では2ケタの成長率が続く可能性もある。

 ちなみに、ソウルオリンピック時の韓国のGDPにおけるソウルの比率は25%、東京オリンピック時の日本のGDPに対する東京の比率は17%だったという(みずほ総研調べ)。

 また、巨額の貿易黒字を計上しながらも人民元の切り上げペースを抑えている状況においては、常に中国国内で過剰流動性が増大しやすい。このため、短期的にはオリンピック前後に調整局面がやってきても、中長期的には流動性が資産市場へ流れ込んでいく可能性はあるだろう。
(東短リサーチ取締役 加藤 出)

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