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海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

意外と求められる昔ながらの農業ノウハウ
中国製農機具よりも有効な日本的支援とは?

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第11回】 2013年12月26日
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“厳しい土地”からスタート
NGOオイスカの歩み

 農業はミャンマーの基幹産業である。国際的にも非常に有望な農業国であることは前回も述べた。有望であるがゆえに、多くの外国企業はビジネスチャンスと捉え、投資分野として狙いを定めている。

 日本はミャンマーの農業のどのような分野に貢献できるのだろうか。また、それは日本企業にとって有望なビジネスとなりえるのだろうか。

 その答えを探るために、長年現地で農業支援をしているNGO、公益財団法人オイスカの藤井啓介氏に話を伺った。そこから見えてきたのは、最新鋭の農業技術や機械に頼らない日本古来の農業ノウハウや、日本人が得意とするコツコツと地道な人材育成が、いまのミャンマーに求められているのではないかということだ。

 まずはオイスカの活動の歴史を紐解こう。

オイスカの藤井啓介氏

 1961年に設立されたオイスカは、アジア・太平洋地域を中心に、世界32の国と地域で(2013年3月末現在)、長年農村開発や環境保全活動を展開している。ミャンマーでの農業支援活動のきっかけは、オイスカのアジアでの活動を見た国連からの打診だった。

 オイスカは、1996年1月27日、国家計画・経済開発省(Ministry of National Planning and Economic Development)と、農業研修センター設立を含むミャンマー国内での支援活動に関する協約を締結した。研修センター自体は、農業灌漑省(Ministry of Agriculture & Irrigation)が管轄主体となってスタートした。

 オイスカの特徴は、活動の柱に“人材育成”を据えていることだ。ミャンマーにおいても、国の基幹産業である農業や畜産の発展のためには、農村地域のリーダー育成が重要との認識に立ち、実際に役立つ農業技術の伝授に力点を置いてきた。そのための活動拠点が、中央乾燥地帯のマグウェイ地域イェサジョ郡にある、農林研修センターだ。

 1990年代当時、国連はミャンマーのなかでも開発が遅れており、かつ当時外国人が比較的入りやすい中央乾燥地帯も、重点開発地域の一つとして位置付けていた。

 しかし、彼らが拠点を置いた中央乾燥地帯は藤井氏曰く「厳しい土地」だったという。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

民主化へ舵を切り、欧米の経済制裁が解除されたことで、世界中の企業の耳目が集まるミャンマー市場。具体的な民主化政策の実行からわずか1年で、会社法や外国投資法など進出する企業にとって重要な法律が施行され、市場として環境が整い始めた。本連載では、企業進出の現場から何が具体的な問題点なのか、またそれを乗り越えるようどのような努力が現在なされているのかについて見ていきたい。「ミャンマー その投資ブームは本物か」に続く、連載第2弾。綿密な現地取材をもとに、ミャンマービジネスの最前線を追う。

「海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線」

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