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海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

東南アジア近隣国より参入障壁は高いものの
大きな可能性秘めるミャンマー医療ビジネス

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第9回】 2013年11月28日
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 ミャンマーにおいて、今でも医療関連で改善のニーズが極めて高いことを、過去2回の連載で見てきた。それは制度的な面もあれば、医師、看護師の数、また薬品や医療機器の充実等広範囲にわたっている。

 医薬品や医療機器については、現在インドやタイ、中国等で製造された安価な商品が幅を利かせてはいるが、現場の医師の声を拾っていくと、価格は高くても信頼性の高い日本の医薬品や医療機器に対する根強い人気が存在する。今後の経済水準の上昇に伴い、より高額の医薬品や医療機器の購入が可能になるについて、日本製品が伸びていく余地は大きいと考えられる。

 一方で、実際にこれらの医薬品や医療機器の製造や販売をミャンマーで行う際には、外資規制の観点からはどのような規制があり、現地進出を検討する際にどのような点に留意する必要があるのだろうか。これも、仮にミャンマー以外の近隣諸国と比較して見ていくことにより、相対的なミャンマービジネスの難しさが鮮明に見えてくる。今回は、東南アジアの近隣諸国と比較した外資規制の観点から見ていきたい。

近隣諸国の進出手順と比較して
ミャンマー進出は割に合うか?

 「日本製は、やはりいい。もっとミャンマーで、安く手に入ればと思っているのだが、何とかならないものか……」

 ミャンマーでの医薬品や医療機器の現況について話が及んだ時に、目の前にいたKyaw Myaint Naing氏はおもむろにつぶやいた。Myanmar Medical Associationという現地の医療関連団体のトップを務める人間だ。

第7回の連載において、ミャンマーのとある病院において、現場の医師からの日本製医薬品や医療機器に対する高い期待感をご紹介したが、ミャンマー医療関連に係わる人の複数の人間から同じような思いを聞いた。

 既に現地に販売拠点を置く日系医療関連会社も多いが、これから本格的な経済発展が始まる現地医療関連市場の潜在的なニーズに比較すると、そこには大きな進出の余地がありそうだ。

 「ミャンマーの市場については皆期待感を持っているのですが、本格的な進出になるとやはりODA関連とか、より確実な形の進出でないと難しいという話が多いですよ」

 ミャンマーで開催する医療展示会をコーディネートしている方のコメントだ。この医療展示会への参加を日本の医療関連の会社に募ったものの、思ったほど反応は返ってこなかったという。

 「確かに市場として魅力的ではあるのだが、他にも東南アジアで強化すべき市場はあり、今はミャンマーにまで労力を割けないと言う企業も多いです」

 市場としての魅力度は、その周辺の国々と比較した相対的な視点で見ていくことが重要だ。そこで今回は、参入のしやすさに軸足を置いて、果たしてミャンマーは、周辺諸国と比較してどこまで外資にとって参入しやすい市場なのかを見ていきたい。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

民主化へ舵を切り、欧米の経済制裁が解除されたことで、世界中の企業の耳目が集まるミャンマー市場。具体的な民主化政策の実行からわずか1年で、会社法や外国投資法など進出する企業にとって重要な法律が施行され、市場として環境が整い始めた。本連載では、企業進出の現場から何が具体的な問題点なのか、またそれを乗り越えるようどのような努力が現在なされているのかについて見ていきたい。「ミャンマー その投資ブームは本物か」に続く、連載第2弾。綿密な現地取材をもとに、ミャンマービジネスの最前線を追う。

「海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線」

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