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高橋洋一の俗論を撃つ!

新年・日本経済最大の焦点
アベノミクスの行方を見極めるポイント

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第84回】 2014年1月9日
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 編集部から、アベノミクスを見るポイントをいくつか上げてもらいたいというご下問があったので、今回はそれを解説したい。アベノミクスの3本柱は周知のように、金融政策、財政政策、成長戦略である。

予想インフレ率の動きを見る

 金融政策については、昨年12月13日付け本コラム「マネタリーアプローチで読む来年の為替 円ドルレートは110円±10円に」の図1「金融政策の波及効果」などで何回も言及してきたが、実質金利(名目金利-予想インフレ率)がどの程度低下するかだけを見ていればいい。デフレからの脱却まで、そう簡単には名目金利が上昇しないので、実質金利の低下は、予想インフレ率の上昇を見ていてもいい。

 なお、この点について、デフレからの脱却過程で名目金利はなかなか上がらないというのは、理論的にも実証的にもわかっていた話だ。筆者は十数年前からそう主張していたが、デフレ論者たちは、金融緩和すると名目金利が上昇して、財政破綻やハイパーインフレになると言っていた。そう主張していた論者が完全に間違っていたのは、言い逃れできないだろう。

 予想インフレ率をどのように見るかは、いろいろな見方があるが、一つには普通の国債利回りと物価連動国債の利回りの差であるブレーク・イーブン・インフレ率を見るのが簡単だ。筆者は、10年以上前に竹中平蔵経済財政担当相に物価連動国債の導入を進言し、それを実現させたのは、予想インフレ率を「可視化」するためだった。

 予想インフレ率は、マネタリーベースの動きと密接な関係があることは、海外などの例からわかっていた。日本でもやはり、アベノミクスで金融政策がキモになるとわかると、急速に予想インフレ率が上昇している。昨年前半には、マネタリーベースの増加を先取りしすぎて、予想インフレ率がオーバーシュートする局面もあったが、上昇傾向であるのは間違いない(ブレーク・イーブン・インフレ率の動向は、財務省サイトを参照)。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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