ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

大川小遺族が検証委「設置要綱違反」を指摘
1月19日に最終報告案も一悶着か

加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]
【第33回】 2014年1月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

東日本大震災で、児童74人と教職員10人が津波に流され死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。発災当日の避難行動や事後対応などを検証する事故検証委員会(室﨑益輝委員長)で、検証委員や調査委員ではない事務局である株式会社社会安全研究所(首藤由紀所長)が聴き取り調査を行っていた実態が、12月7日に非公開で行われた第7回の遺族向け報告会で明らかになった(前々回参照)。同検証委が初回に取り決めた要綱では、調査を担うのは委員か調査委員と規定されていることから、遺族や専門家から要綱違反を見逃す検証姿勢を問題視する指摘が出ている。

事務局が要綱にない聴き取りを代行
委員会と事務局は“一体”か?

 年の瀬も押し迫った12月29日、遺族向け報告会が非公開で行われた。

 「検証委員会のあり方がどうしても納得できない。要綱では、検証委員会は、<委員及び調査委員で構成される>ということになっている。このなかに、事務局という文章が一切見られない」

 出席した遺族によると、事務局が骨子案を作成したり、聴き取りをしたりしていることについて、前回の12月7日の報告会でも疑念が出ていたという。

 遺族が指摘するのは、検証委が自らあらかじめ取り決めたルールや約束を守らない以下のような実態だ。

1 委員・調査委員のいない場で、事務局だけで聴き取りを行った事例がある
2 委員同席の聞き取り調査で、事務局も積極的に質問をした事例がある
3 報告資料の骨子や案を、委員ではなく事務局が作成している
4 検証委が遺族に報告すべきはずが、事務局が行っている
5 委員会に伝えたはずの数々の意見や指摘が、事務局を通じて委員長に伝わっていなかった

 遺族側の指摘に対し、事務局の社会安全研究所の首藤所長は、「事務局は委員や調査委員の先生方のご指示の下に作業しているため、問題ない」と説明してきた。

 だが、要綱にはこうした「事務局は委員・調査委員の指示の下に作業をする」という取り決めすらない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]

気象キャスターや番組ディレクターを経て、取材者に。防災、気象、対話、科学コミュニケーションをテーマに様々な形で活動中。「気象サイエンスカフェ」オーガナイザー。最新著書は、ジャーナリストの池上正樹氏との共著『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)。『ふたたび、ここから―東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)でも写真を担当し、執筆協力も行っている。他に、共著で『気象予報士になる!?』(秀和システム)。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。
ブログ:http://katoyori.blogspot.jp/


大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

東日本大震災の大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。この世界でも例を見ない「惨事」について、震災から1年経った今、これまで伏せられてきた“真実”がついに解き明かされようとしている。この連載では、大川小学校の“真実”を明らかにするとともに、子どもの命を守るためにあるべき安心・安全な学校の管理体制を考える。

「大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~」

⇒バックナンバー一覧