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大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

信憑性に欠ける生存教諭の証言掲載はなぜ?
大川小検証委の「公正中立・客観性」に遺族が疑問符

加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]
【第31回】 2013年12月20日
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2011年の東日本大震災の大津波で、児童74人と教職員10人が死亡・行方不明となった石巻市立大川小学校の事故検証委員会が大詰めを迎えている。来年1月には最終報告が公表される見通しだが、これまでの9ヵ月間の検証経過を見る限り、真相究明を求めてきた遺族たちが繰り返し指摘してきた疑問点や要点はほとんどクリアされていない。7日に行われた非公開の遺族向け報告会では、特に唯一の生存教諭の証言の取り扱いついて、遺族たちから懸念の声が相次いだ。

遺族提出の公開質問状に対する
検証委の回答は……

 大川小の事故検証委員会は6日、11月30日の第7回会合で遺族の佐藤敏郎さん(小さな命の意味を考える会代表)が提出した公開質問状への回答を示した。

 検証の進め方に疑問を感じた佐藤さんは、以下5項目の改善を求め、検証委側の見解を尋ねていた(第30回参照)。

(1)「学校管理下」と「地域の意識」の関連性の視点の誤りを正し、当日の避難行動を中心とした事故そのものの調査を行い、学校管理下という責任の所在を前提にした議論を行う

(2)事実情報について根拠を明らかにする。これまでの報告で事実と違う点を訂正する。特に災害に災害のメカニズムに関する詳細調査は正式に取り下げる

(3)検証委員会や聞き取りで、心ない発言をする委員の取り扱いについて、遺族と協議する

(4)コーディネーターを設置し、遺族が参画する体制にする

 以上の(1)~(4)が改善できない場合は、

(5)検証作業を一旦停止して、遺族も交え検証の方向性を話し合う

 これに対し、検証委から6日に佐藤さんの元に届いた回答書の要点は、以下のとおりだ。

(1)事故防止の主体が学校であることは委員会の総意であることを確認したうえで、「地域全体としての防災意識も関わりがあり得る」

(2)「根拠を明確にすべき」という佐藤さんの主張を「ご指摘のとおり」と認め、委員会の情報取扱規程は「検証作業の公正性と信頼性を支える根幹」であるため、証言者本人の「承諾を得たものでなければ公表できない」

(3)委員・調査委員の発言で遺族が傷ついたことに「心から深くお詫び」

(4)同委員会と遺族の間をつなぐコーディネーターは、遺族の総意で適任者を遺族会に設置してはどうかと提案

(5)「ようやく問題の核心に迫る議論を公開の場で行い得るところまで到達」したため作業の手を止めることなく検証を進めていく

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加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]

気象キャスターや番組ディレクターを経て、取材者に。防災、気象、対話、科学コミュニケーションをテーマに様々な形で活動中。「気象サイエンスカフェ」オーガナイザー。最新著書は、ジャーナリストの池上正樹氏との共著『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)。『ふたたび、ここから―東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)でも写真を担当し、執筆協力も行っている。他に、共著で『気象予報士になる!?』(秀和システム)。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。
ブログ:http://katoyori.blogspot.jp/


大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

東日本大震災の大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。この世界でも例を見ない「惨事」について、震災から1年経った今、これまで伏せられてきた“真実”がついに解き明かされようとしている。この連載では、大川小学校の“真実”を明らかにするとともに、子どもの命を守るためにあるべき安心・安全な学校の管理体制を考える。

「大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~」

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