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岸博幸のクリエイティブ国富論

脱原発は都知事選の争点にふさわしくないか?

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第252回】 2014年1月17日
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 細川護煕氏の立候補と小泉純一郎氏の全面支援が決まったことで、都知事選は事実上、自民党が応援する舛添要一氏と細川・小泉コンビの一騎打ちとなりそうですが、早速自民党やメディアは脱原発を都知事選の争点にすることを批判し出しています。しかし、そうした批判は正しいのでしょうか。

脱原発を争点とすることへの批判

 細川氏と小泉氏が脱原発を前面に立てて都知事選を戦おうとしていることに対して、自民党やマスメディア、更には原発立地自治体の首長などから、「エネルギー政策は国策であり、地方自治体の首長が決める話ではない」、「脱原発を目指したいなら首長選より国政に出ろ」、「東京都が直面する保育や高齢化などの課題を主張すべき」、「エネルギー政策の全体を語らず脱原発ばかりを叫ぶのは無責任である」など、面白い位に色々な批判が出ています。

 しかし、脱原発を掲げて都知事選を戦うことを全面否定するのは難しいのではないでしょうか。

 第一に、東京都は日本全国の電力需要の10%程度を占め、都道府県の中で最大の電力消費エリアです。かつ、東京都は実質国有化後も東電株の1.2%を保有する第4位の大株主です。従って、最大の電力消費地域であり東電の大株主である東京都の知事が脱原発を目指すことになれば、当然それはエネルギー政策という国策の方向性にも大きな影響を与えることになります。

 第二に、次の国政選挙は2016年の参院選までありません。その一方で、経産省は将来のエネルギー需給を示すエネルギー基本計画を近々決定し、長期的にも原発を使い続ける方向性を打ち出そうとしています。かつ、今夏にも原発再稼働の可能性が大きいのです。

 即ち、2年も先の国政選挙を待っていたら、その頃には未来永劫原発を使い続けることが既成事実化してしまっている懸念があるのです。そうした現実を踏まえると、脱原発を都知事選という直近かつ影響力の大きい選挙に持ち出すのは、むしろ政治的には当たり前となります。

 従って、脱原発を掲げること自体を全面否定することはできません。ただ、細川氏が本当に正しい主張をしているかどうかは別の問題です。そもそも主張している脱原発の内容が正しいのか、脱原発以外に都政が直面する課題について正しい政策を掲げているか、という2つの点がもっとも重要だからです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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