新OS「Tizen」搭載端末
直前の発表延期は
iPhoneの不調が理由
2014年1月16日、NTTドコモはこの日に向けて、新製品の発表会を開こうとひそかに準備を進めていた。
会場は、勢いがあるIT系企業の入った、東京・渋谷ヒカリエを押さえ、発表者の加藤薰社長も準備に余念がなかった。
プレゼンだけではない。iPhoneの発売式典で、スタイリストをつけたにもかかわらず、第1ボタンまで留めた白いシャツ姿が不評だったこともあり、銀座の老舗仕立屋でジャケットを新調するほどの力の入れようだったという。
その新製品とは、ドコモが韓国サムスン電子、米インテルらと開発を進めてきた、新しい基本ソフト(OS)「Tizen(タイゼン)」を搭載したスマートフォンだ。米アップルの「iOS」、米グーグルの「アンドロイド」に次ぐ、“第3のOS”の搭載端末として、「ドコモ側は華々しくデビューさせるはずだった」(広告宣伝関係者)。
ところが、異変は年末に起こる。関係者に向けて案内を送る準備がほぼ整った段階で、急遽ストップがかかった。
度重なる検討が繰り返された結果、「端末は出来上がっている」と訴える開発陣を袖にし、16日当日の幹部会議にて、導入を見送る決定を下したのだ。
いったい何が起きたのか。実は、13年9月のiPhone導入後も、スマホの販売台数が想定ほど伸びてこなかったのだ。
当初、人気のiPhone5sは品薄となっていた。11月に入り、在庫が潤沢になったころには需要が一巡。「11月下旬~12月前半が思ったより伸びなかった」(販売代理店幹部)。