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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

ドラマ「明日、ママがいない」が大炎上!
あえてやっかいな問題に斬り込んだ日テレに
「正義」はあるのか?

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第104回】 2014年1月29日
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 日本テレビのドラマ「明日、ママがいない」が大炎上している。ネットでも話題なのでご存じの方も多いと思うが、事件のあらましを簡単にお伝えしておく。

 このドラマ、年明け1月15日から放送が開始された。児童養護施設に暮らす子どもたちの姿を描いた作品だが、その表現が差別を助長したり、施設で暮らす子どもたちを傷つけるとして、いわゆる「赤ちゃんポスト」を設置する慈恵病院(熊本市)が日本テレビに放送中止を求め、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会にも審議を求める申立書を送付した。また、全国児童養護施設協議会と全国里親会も放送内容の改善を求め、同局に抗議文を送付。いわば、日テレは業界全体を敵に回す格好になってしまった。

 この状況のなか、本日29日放送の第3話ではすべてのスポンサーが提供を降りることになったという。ネットでも話題騒然で賛否両論あるが、CSR視点でこの問題を語ったものは見当たらなかったので、今回はその視点で書きたいと思う。ただし、残念ながら僕は第1話の放送を見ていない。第2話を見ただけの判断であることをまずはお伝えしておく。

ドラマを見て強く感じた、
リアリティの欠如

 第2話のテーマは「里親」について。虐待によって殺されかけ、舞台となる施設に入所した幼い男の子が、里親候補となる子どものいない夫婦のもとに「お試し」で預けられるという話だが、虐待を受けて施設に入所している子どもの里親になることの困難さは、視聴者にもある程度なら伝わるようにはなっていたかと思う。しかし僕は、肝心の状況設定が間違っている気がした。

 まず、第2話の状況設定を簡単に説明しよう。

 この里親候補の夫婦は、最初は愛情深く男の子(この子は、母親がパチンコ依存で育児放棄したことで死にかけた子どもなので、「パチ」というあだ名で呼ばれている)に接する。しかし、パチは使い古したシャンプーのボトルを抱きかかえたまま離そうとしない。それは、自分をネグレクトした母親が使っていたシャンプーのボトルで、つまり「母の香り」だったのだ。そのことを知った里親候補の妻は、自分の愛情を受け入れようとしないパチの行動に憤り、無理やりボトルを取り上げ、ゴミ箱に捨ててしまう。そのことでパチは、虐待されていたときのことがフラッシュバックし、パニックを起こしてしまう、というもの。

 僕は、これがリアリティを欠いていると感じてしまった。そもそも虐待を受けた子どもの里親候補というのは、過去にも里親経験があり、さらに専門的な知識とスキルの研修を受けた人たちだ。そのような人たちが、自分の感情にまかせてあきらかに子どもを傷つけるような行為を安易に行なうだろうか。そんな疑問を抱かせるような、リアリティの欠如を僕はこのドラマに感じてしまうのだ。

 今回、慈恵病院や児童養護施設、里親関係者が怒っている要因には、この「リアリティの欠如」がある。これに対して、「これはフィクションだから、設定が事実と違っていることもある。そこを突つかれたらドラマなんか作れない」という意見もある。しかし、ドラマにおけるリアリティというのは、それほど単純なものではない。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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