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「3.11を忘れない」だけでいいのか? 日本企業・社会貢献の現実

3.11でも日本企業は変わらない?
震災復興におけるCSRの現実
――開沼博&福島学構築プロジェクト

開沼 博 [社会学者],福島学構築プロジェクト
【第1回】 2014年1月22日
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2011年3月11日の東日本大震災から、間もなく4年目を迎える。3.11を1000年に一度の災害だったという人がいた。1945年の敗戦以来の歴史的事件だったという人がいた。「絆」「がんばろう」と多くの人が叫んでいた。震災復興を語りたがる人で溢れていた。あれから3年が経ち、そして、誰もいなくなった。
いまこそ、問おう。大仰な文明論が牽強付会に語り続けられた熱狂の果てに、何が変わり、何が変わらなかったのか、と。ここで動かなかったならば、いつ動けるのだ、と。
本連載が問うのは、その一つの糸口だ。そこにはシンプルな疑問がある。「日本の企業は、3.11後の社会に何ができたのか?そして、そこで何が変わったのか?」人は「3.11を忘れてはならない」と繰り返す。しかし、これまで通りそう繰り返すだけで、風化に抗うことはできるのか。震災以前から注目されている日本企業の社会貢献の重要性、その現実を追う。

 「3.11を忘れない」だけでいいのか?

 「3.11を忘れない」

 今年の3月11日前後も、要するにそういう言葉で溢れるだろう。もちろん、色々な言葉づかいのパターンがあるだろうが。

 あの日の犠牲者たちの物語。

 いまだに震災の影響で苦しんでいる、あるいは、新たな希望の道を見つけて前向きな姿を見せる子どもやお年寄り。そして、何らかの問題を描きながら「復興の遅れ」を指摘し、遺憾の意を示す人々。

 震災から1年目のときも、2年目のときもそうだった。そして、3度目の「その時期」がやってくる。もちろん、それが悪いと言うつもりはまったくない。むしろ、これは極めて重要な「きっかけ」だ。「あるテーマを持続的に問い続ける回路」の1つになるという点において。

 例えば、多くの祝日や記念日がそうだろう。悲劇も喜劇も、私たちは時間の経過とともに何かを必ず忘却する。同時に、それを暦の中に入れ込んで、継続的に問い続ける回路をつくる。

 しかし、「きっかけ」を設定したことにかまけて、思考停止に陥ってはならない。「忘れられている」「復興が遅れている」と嘆いてみるのなら、「だとすれば、今、何が必要か」までを含めて示す必要がある。

 さもなければ、普段は関心のない多くの人からは「これ、今まで何度も見たような話だな」「またこのネタか……」という反応、あるいは無反応ばかりを招くことになるだろう。「同じような話の再生産」を続けるようになり、それは次第に、人々の興味を縮小再生産していくのみだ。

 現に、1年目より2年目、2年目より3年目と人々の関心が薄れることはあっても、高まることはない。テレビ視聴率、書籍発行部数、そもそも、メディアで取り上げられる数。「どうにか取り上げたいんだ」という気持ちも、「数字が取れないから」とかき消されてしまうと聞く。

 ただ、少し冷静になれば、これも「ないものねだりの嘆き」なのかもしれないとも思う。災害も事件・事故も、どれだけ人々に衝撃を与えた社会問題も、時間が経つとともに忘れられていくのが自然だ。そうであるからこそ、苦しい思いから逃れて未来を考えられるようになる人もいる。そんな側面があるのもたしかだ。

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開沼 博(かいぬま・ひろし) [社会学者]

1984年、福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。専攻は社会学。学術誌のほか、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。
著書に『漂白される社会』(ダイヤモンド社)、『はじめての福島学』(イースト・プレス)、『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)、『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(同、佐藤栄佐久との共著)、『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。
第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。

 

福島学構築プロジェクト

少子高齢化と人口流出、コミュニティ・医療福祉体制の崩壊、産業構造の変化と衰退、リスクの増大…「課題先進地」
たる福島の課題を通して、世界に発信し得る日本の資源の発掘を行う福島学構築プロジェクト。課題解決に向けて作られた多様なコンソーシアムには、様々な組織の研究者・企業関係者が参画している。
福島学構築プロジェクト公式WEB:http://www.fukushimagaku.org/

 


「3.11を忘れない」だけでいいのか? 日本企業・社会貢献の現実

2011年3月11日の東日本大震災から、間もなく4年目を迎える。3.11を1000年に一度の災害だったという人がいた。1945年の敗戦以来の歴史的事件だったという人がいた。「絆」「がんばろう」と多くの人が叫んでいた。では、問おう。ここで動かなかったならばいつ動けるのだ、と。
本連載が問うのはシンプルな疑問だ。「日本の企業は3.11後にどれだけ社会貢献ができたのか?」である。人は「3.11を忘れてはならない」と繰り返す。しかし、これまで通りにそう繰り返すだけで、風化に抗うことはできるのか。震災以前から注目されている企業の社会貢献の重要性、その現実を追う。

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