山崎元のマルチスコープ
【第31回】 2008年5月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

生保は金融ネットビジネスの「最後で最大のフロンティア」

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 金融分野のネットビジネスとしては最後に残った巨大市場である生命保険――。そのいわばラストフロンティアに、この5月、ある独立系ベンチャーが参入を果たした。
 
 企業の名は、ライフネット生命。ネット専業の保険会社としては、SBIアクサ生命に次ぐ2社目となる。5月18日の日曜日朝8時に開業という点は、いかにもネットビジネスらしい。

 筆者は、このベンチャー企業の成否に大変注目している。なぜなら、同社の存在そのものが、既存の保険ビジネスへの批判に満ちているからだ。

 批判は大きく分けて4つある。

 1)既存の保険商品の価格が高すぎる。2)売り方の能率が悪い。3)商品が複雑で、不必要なものまで売っている。4)契約させるプロセスに問題がある。

 批判がいいすぎならば、ライフネット生命には、既存の保険業界に対するアンチテーゼが詰まっていると言い換えよう。いずれにせよ、同社の今後はネットビジネスとしても、あるいは生命保険のあり方を考えるという意味でも非常に興味深い。

インターネットと
生命保険の相性は抜群

 そもそもインターネットと生命保険の相性はどうなのかを考えてみると、基本的な原理としてはかなりいいはずだと筆者は考えている。なぜか。

 まず既存の生命保険会社の保険料が、構造的にものすごく高いからだ。

 周知のごとく、保険料は、純保険料と付加保険料で構成されている。前者は、保険事故の際に支払われる保険金や満期に支払われるお金など保証と貯蓄に充当される。平たく言えば、契約者に還元される部分だ。これに対して、付加保険料とは、保険を維持管理していくために必要とされるもので、言い換えれば、保険会社の運営経費や販売経費などに相当する。保険会社の社員の給料やボーナスは、基本的にはこの中から支払われる。ただし、契約者の側から見ると、これは、投資信託の募集手数料や信託報酬のように、業者に徴収される金融商品の「手数料」だ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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