時計の針を逆に回すような動きが目立つ安倍政権。「アベノトレンド」とも言うべき逆流にブレーキを掛けられるか。東京都知事選の裏テーマはこの一点だ。ところが自民党が担ぐ元厚労相の舛添要一氏が圧勝の勢いという。報道各社の世論調査で元首相・細川護煕氏、元日弁連会長の宇都宮健児氏を大きく引き離した。反原発勢力が逆転するには「候補者一本化」しかない。水面下で進む共闘協議は時間切れ寸前。問われているのは、現実政治に対する「頭の柔らかさ」。とりわけ日本共産党の決断にかかっている。

「候補者一本化」について両候補に尋ねた

 私たちはインターネットでニュース解説番組を提供する「デモクラTV」を運営している。今回の都知事選を前に、4人の候補者に出演をお願いした。舛添氏と元航空幕僚長の田母神俊雄氏からは告示前に返事をいただけなかった。宇都宮氏と細川氏は快諾し、それぞれ1時間のインタビューに応じた。

「候補者一本化」を両候補に尋ねた。二人とも「一緒にできないか、という声は各方面から上がっている」という。

 それが困難であることを宇都宮氏は「細川さんがどんな気持ちで反原発をいわれるのか、分からない。原発だけが東京の課題ではない。他の政策についてどう考えておられるのか、その点について話を聞かないと判断がつかない」(1月10日収録)。

 細川氏は「宇都宮さんは他の政策と原発を同列に並べている。私は原発問題は、その他の懸案と比べものにならない重い課題と思っている。話をして野合とか裏取引と言われちゃかなわない。毅然と原発最優先で選挙に臨みたい」(1月22日収録)。
(なお、この模様はアーカイブに収蔵されており、会員でなくてもインターネットを通じて無料で見ることができる)

 宇都宮氏へのインタビューは、細川氏が決意表明する4日前、政策がまだ明確に示されていなかった時の収録だった。

 14日に細川氏は小泉元首相と会い、出馬を表明した。「この選挙は原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくして日本は発展できないというグループの争いだ」という対決の構図が示された。

 安倍政権への挑戦状でもある。小泉氏がそこまで踏み込むとは、安倍首相も自民党も思っていなかった。知事選が持つ意味が一気に変わった。