「もう、官邸では原発再稼働へ向けた新たな論点や障壁はないと見ているんじゃないか」
多くの企業が仕事始めだった1月6日の週、ある政府系政策会議の民間議員はこう話していた。現在停止している原子力発電所の再稼働が2014年に順次始まるというのが、政財界の一致した見方だった。
ところが翌週、風向きが一気に逆になる。14日、細川護煕元首相が小泉純一郎元首相の全面支援を受けて、「脱原発」を旗印に東京都知事選挙に立候補すると表明したからだ。
安倍晋三首相をはじめとした現政権からは「エネルギー政策は東京都だけでなく国全体の問題。東京都としての課題もバランスよく議論すべき」「東京都だけで決める政策課題ではない」といった発言が相次いだ。
二人の元首相がぶち上げた狼煙
議論は再び盛り上がるのか
東日本大震災直後から盛り上がっていた反原発運動は、ここ最近は一時の勢いは見られず、下火になっていた。
2012年12月に行われた衆議院議員選挙では、原発ゼロを掲げていた当時の与党・民主党をはじめとした政党は軒並み振るわず、「脱」や「卒」、「ゼロ」とは明確に掲げていなかった自民党が圧勝。2013年7月に行われた参議院議員選挙では、「国が責任を持って、安全と判断された原発の再稼働については、地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をします」と主張した自民党が、またも圧勝した。