急成長するタクシー配車システム<br />「ユーバー」が抱える訴訟問題ユーバー(Uber)のWebサイト。すでに東京を含む世界26ヵ国の都市で利用されているサービスだ

「ユーバー(Uber)」と言えば、シリコンバレーのスタートアップの中でも、次にIPOが待たれる有望な企業として注目される存在だ。だが、同社は最近事故死に関する訴訟を起こされるなど、多方面からの問題に直面している。

 ユーバーは、自分のスマートフォンからリムジンやタクシーが呼べるサービスだ。迎えにきてほしい場所を地図上でタップすれば、近くにいるドライバーがすぐに返答し、同時に到着するまでの所要時間や料金もわかる。支払いも登録したクレジットカードで行うため、財布を取り出さなくてもいい。多少値段は高めだが、そんな便利さが受けているのだ。

 サンフランシスコで2009年にサービスがスタートし、現在では東京を含む世界60都市で展開。車の種類も、黒塗りのリジムジンから、SUV、普通の小型車、そしてタクシーまでと広がり、料金にも幅が出てきた。

 特にほとんどのアメリカの都市のように、タクシーが路上で見つからない場合とか、迎えを待ちたくない場合などに便利で、利用者はどんどん広まっている。2013年のユーバーの売上は2億1300万ドル(ドライバーへの支払い後)とされ、現在つけられている企業価値は40億ドルに上る。

ユーバー契約のドライバーは
契約時以外も常にアプリを見ている

 ところが、そのユーバーに訴訟が起こされた。昨年の大晦日に起こった事故に関するものだ。

 その夜、サンフランシスコ市内の横断歩道を渡ろうとしていたある家族が、ユーバーのドライバーが運転する車にはねられ、6歳の少女が死亡したのだ。母親は重症、弟も傷を負った。家族は、ドライバーとその雇い主としてユーバーを訴えているのだが、ユーバーはその時、同ドライバーは客を運んでいなかったという理由で、訴えを退けている。

 ユーバーの言い分によると、ドライバーは注文が発生するごとにユーバーの契約請負人となるのであって、社員ではない。同社の損害賠償保険は、ドライバーが客を乗せている間だけ適用され、言わば「流し」の状態はあくまでも個人ドライバーという扱いだという。