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「3.11を忘れない」だけでいいのか? 日本企業・社会貢献の現実

生き残った企業は何をする?
復興支援の「持久力型のリソース提供」
――開沼博&福島学構築プロジェクト

開沼 博 [社会学者],福島学構築プロジェクト
【第2回】 2014年2月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
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2011年3月11日の東日本大震災から、間もなく4年目を迎える。3.11を1000年に一度の災害だったという人がいた。1945年の敗戦以来の歴史的事件だったという人がいた。「絆」「がんばろう」と多くの人が叫んでいた。震災復興を語りたがる人で溢れていた。あれから3年が経ち、そして、誰もいなくなった。
いまこそ、問おう。大仰な文明論が牽強付会に語り続けられた熱狂の果てに、何が変わり、何が変わらなかったのか、と。ここで動かなかったならば、いつ動けるのだ、と。
本連載が問うのは、その一つの糸口だ。そこにはシンプルな疑問がある。「日本の企業は、3.11後の社会に何ができたのか?そして、そこで何が変わったの か?」人は「3.11を忘れてはならない」と繰り返す。しかし、これまで通りそう繰り返すだけで、風化に抗うことはできるのか。震災以前から注目されている日本企業の社会貢献の重要性、その現実を追う。

「神戸ルミナリエ」がつなぐ阪神・淡路大震災の記憶

 多くの人がメディアを通して見聞き、あるいは実際に行ったことがあるであろう「神戸ルミナリエ」というイベントがある。

 神戸ルミナリエは、神戸の旧外国人居留地を中心に毎年12月に開催される。2013年、会期である12日間の合計来場者は354万人。一昨年の5月に開業した東京スカイツリーが、年度末までほぼ1年間の来場者が554万人であったことを考えると、このイベントの集客力がよくわかる。

 神戸ルミナリエに対して思い浮かべるイメージは、人によって分かれるだろう。

 1つは、「冬の神戸の風物詩」。テレビや雑誌でも特集が組まれ、この時期、この場所でしか見られない幻想的な光景を見ようと、遠方からバスツアーのバスツアーも多い。神戸の街は観光客であふれることになる。

 ただ、もう一方には、また別のイメージを持つ人もいる。それは、「震災復興の象徴」としてのイメージだ。

 神戸ルミナリエは、阪神・淡路大震災が発生した年である1995年の12月に始まった。それは、神戸への集客効果はもちろんだが、それ以上に、慰霊と復興、記憶の継承を主眼とした「復興イベント」の意味合いが強いものだった。

 こんなことは、地元の関係者や神戸の復興に長く携わってきた人々からすれば、改めて言うまでもない常識である。神戸ルミナリエの公式ホームページを見れば、震災に関するコンテンツや関係者が前面に押し出されていることに気づくだろう。

 しかし、「好奇心」でやって来る人々にとっては、必ずしも、そうした震災復興の文脈が意識されているわけではない。たとえば、バスツアーの募集チラシを見ると、「光の祭典」「昼間は神戸観光を満喫」「翌日は大阪に泊まってUSJに行くことも」などといった宣伝文句が並ぶ。顧客の「きれいだな」「神戸観光したい」という好奇心に応えるものだ。

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開沼 博(かいぬま・ひろし) [社会学者]

1984年、福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。専攻は社会学。学術誌のほか、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。
著書に『漂白される社会』(ダイヤモンド社)、『はじめての福島学』(イースト・プレス)、『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)、『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(同、佐藤栄佐久との共著)、『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。
第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。

 

福島学構築プロジェクト

少子高齢化と人口流出、コミュニティ・医療福祉体制の崩壊、産業構造の変化と衰退、リスクの増大…「課題先進地」
たる福島の課題を通して、世界に発信し得る日本の資源の発掘を行う福島学構築プロジェクト。課題解決に向けて作られた多様なコンソーシアムには、様々な組織の研究者・企業関係者が参画している。
福島学構築プロジェクト公式WEB:http://www.fukushimagaku.org/

 


「3.11を忘れない」だけでいいのか? 日本企業・社会貢献の現実

2011年3月11日の東日本大震災から、間もなく4年目を迎える。3.11を1000年に一度の災害だったという人がいた。1945年の敗戦以来の歴史的事件だったという人がいた。「絆」「がんばろう」と多くの人が叫んでいた。では、問おう。ここで動かなかったならばいつ動けるのだ、と。
本連載が問うのはシンプルな疑問だ。「日本の企業は3.11後にどれだけ社会貢献ができたのか?」である。人は「3.11を忘れてはならない」と繰り返す。しかし、これまで通りにそう繰り返すだけで、風化に抗うことはできるのか。震災以前から注目されている企業の社会貢献の重要性、その現実を追う。

「「3.11を忘れない」だけでいいのか? 日本企業・社会貢献の現実」

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