日本原子力発電東海原発(廃炉中)と東海第二原発、その他の原子力関係の研究機関が多数立地する東海村で、2013年9月まで村長を務めていた村上達也氏。1999年9月に発生したJCO臨界事故では、日本で初めて周辺住民に避難指示を出し、その後も事故終息へ向けて取り組んだ経験を持つ。原子力関連産業を受け入れてきた立場にあったが、震災後は脱原発を積極的に訴えている。原発の酸いも甘いも知る村上氏に、原発を「重要なベース電源」とする方針を示した今の原発行政について、どのように考えるか話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

この国はもう一度事故をやらないと
目が覚めない、情けないダメな国だ

むらかみ・たつや
1943年茨城県東海村生まれ。一橋大学社会学部卒業。常陽銀行ひたちなか支店長を経て、97年東海村村長に就任。13年9月、任期満了、退任。現在は脱原発をめざす首長会議世話人として活動。著書に『東海村・村長の「脱原発」論』(村上達也、神保哲生著、集英社新書)
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――2013年末に公表されたエネルギー基本計画案で、原発は「重要なベース電源」とされています。東日本大震災で起きた福島第一原子力発電所事故の前の状態に戻りつつあります。どのようにご覧になりますか。

 この国は、まったくダメな国だと思う。原発事故が起きたことで、国民全体で脱原発という認識ができてきた。当然ながら国策として原子力をエネルギー政策の中心に据えてきた政府と事業者は反省して、新しいエネルギー政策を考えないといけないのに、それができていない。

 従来の利害関係にこだわって、元の形に戻そうというのは、まったく呆れたし、本当にダメな国だ。この国はもういちど原発事故をやらないと、目が覚めないんだと思う。情けない国だ。