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野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

株価を高騰させた「期待」が崩壊
――対前年同月比は、すでに12月から急落

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第11回】 2014年2月6日
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 新興国をめぐる国際的投機資金の流れの変調を受けて、世界各国の株価が暴落している。日本でも、株価の急落現象が起きている。

 日本の場合、実体経済の本格的な回復ではなく「期待」によって株価が高騰してきた面が強いため、とりわけ変化が急だ。以下では、その背景を分析することとしたい。

13年春頃に高まった期待が、
12月ごろから崩壊

 人々の期待の変化は、[図表1]の株価水準の推移に明確に表れている。13年春頃まで急上昇し、その後一進一退状態になった。株価が停滞したのは、13年5月頃以降、円安の進展が止まり、QE3テイパリング(金融緩和政策の縮小)の予想も広まったからだ。

 ところで、株価については、通常、水準が問題とされ、上昇率にはあまり注意が払われない。しかし、投機的な株式投資は、配当ではなく、売買益を狙うものだ。そうした投資で問題となるのは、価格上昇率である。そこで、株価についても上昇率を見ることが有益だろう。

 [図表2]に示す株価の対前年比増加率には、「13年春頃に急騰した期待が、12月頃から崩壊」という経緯がより明確に表れている。すなわち、対前年比は、13年の4月頃から急速に上昇した。しかし、5月末から6月初めに急落し、その後は一進一退状態となった。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

アベノミクスの本質は、株価や為替レートなど資産価格のバブルを利用して、経済が好転しているような錯覚を人々に与えるものだ。人々の将来への「期待」を高め、それを実体経済の改善につなげようとする。たしかに、株価は上がり、輸出企業の利益は増えているが、賃金や設備投資に回復の兆しは見られない。果たして、人々の「期待」は実現するのか、それとも「幻滅」に変わるのだろうか?

「野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき」

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