アマゾン株、トークン化版なら価格4倍かもIllustration: Alexandra Citrin-Safadi/WSJ; Getty

 暗号資産(仮想通貨)関連企業は、ブロックチェーン技術を使って株式市場を再構築するという壮大な計画に乗り出したが、出だしから波乱含みとなった。

 2週間前、米アマゾン・ドット・コムや米アップルなど人気の株式に連動するデジタルトークンの発行が始まったものの、価格は原資産と大きくかい離している。株取引アプリを手掛ける米ロビンフッド・マーケッツは、米人工知能(AI)新興企業オープンAIの承認を得ずに同社に投資できるトークンを発行し、欧州規制当局から調査を受けている。業界内部からさえ、このような「トークン化した」株式は悪意ある者にインサイダー取引や市場操作の機会を与え、発覚せずに済んでしまうことになりかねないとの懸念が出ている。

 ロビンフッドや仮想通貨交換業者のクラーケン、ジェミニ、バイビットなどが6月下旬、米国の株式や上場投資信託(ETF)をブロックチェーン上でトークン化した資産を米国外の顧客に提供すると相次ぎ発表した。仮想通貨業界の幹部らは、世界中の人が米電気自動車(EV)メーカーのテスラや米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディア、「SPDR S&P500」ETFなどの注目証券に投資できるようになると自信を示した。とりわけ現地の証券会社を通じて米国株を購入するのが難しい国からの利用を見込む。

 ジェミニの共同創業者キャメロン・ウィンクルボス氏は「株をトークン化することで、米国の資本市場を世界中に輸出できると考えている」と述べた。