これまで10年で100社以上の中小企業を倒産の危機から救ってきたキャッシュフローの専門家・森岡寛氏が「赤字経営から脱却して黒字基調の会社になるコツ」について、全5回にわたり解説します。第1回は「赤字社長と黒字社長を分けるものは何か?」です。
「社長」と聞いて何を連想しますか?
あなたは「社長」と聞いて何を連想されますか?
事業が順調にいき、業務は社員に任せて社内にはほとんど不在。同業者との勉強会や異業種交流会に時間を割き、毎晩のように飲み歩き、高級外車を乗り回し、リッチで自由な生活を満喫している……。
そんなことを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
世間では、始業時間に遅れて出社することを「社長出勤」「重役出勤」などと言うぐらいですから、現場で働いている一般社員から見れば、「社長って良いな」「ラクな仕事だな」と考える方も多いかもしれません。
ところが、現実は大きく異なります。
ひとたび会社経営が傾くと、役員報酬が取れなくなるのはもちろんのこと、自分の預貯金を取り崩して会社の資金繰りを補てんしないといけません。
銀行融資を受けるにあたっては、自宅や預金を担保として要求されることもあります。
また、住宅ローンを組もうとしても、社員であれば源泉徴収票を出して審査を受けるだけですが、社長の場合はそうはいきません。源泉徴収票はもちろんのこと、過去3期分の会社の決算書も提出して個人と会社の双方で審査されることになります。
おまけに、会社の業績が良くなければ、いくら年収が高くても住宅ローンの審査で断られたり、金利が上がることもあるぐらいです。
なぜ、このように、社長に対する評価は厳しいのでしょうか?
答えは、日本における黒字申告の割合が示しています。