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スマートフォンの理想と現実

パソコンの終わりが始まり、
ウェアラブルはまだ夜明け前の闇の中

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第58回】 2014年2月18日
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 気がつけば、バルセロナのモバイルワールドコングレスが近づく、もう2月。

 実はこれが年始最初の連載更新である。またぞろ遅れたことをお詫びしたい。コンシューマエレクトロニクスショー(以下CES)の報告を書こうと思っていたのだが、私事で恐縮ながら、年始に腰痛を患い、現地には飛べなかった。

 そんなわけで、弊社のスタッフを含め、現地に飛んだ方々からの話を聞くにとどまっていたのだが、そうして遠くから見ていて気づいたことがいくつかあった。今後の重要なトレンドになるとも感じているので、その備忘録から連載再開としたい。

パソコンの終わりの始まり?

 CESはもともと家電製品の展示会なので、テレビやオーディオ等のAV機器が長年主役であった。現在はモバイルガジェット等の展示も多く、今回もいくつかワールドプレミアが発表されたが、CESにITを大々的に持ち込んだのは、やはりパソコンだろう。

 そのパソコンの変化が、今年のCESの様子から、感じ取れた。特に印象的だったのは、東芝が発表したクロームブック(Chromebook)。グーグルが開発したChromeOS搭載のノートPCで、今回CESで発売し、300ドル前後という市場投入価格とあわせて、注目を集めた。

 それだけをかいつまむと、よくある低価格化路線に見える。しかし今回クロームブックを手がけたのは、現在まで続くダイナブックというノートPCのパイオニア的ブランドを持つ、東芝である。

 なにしろ、現在のノートPCの基礎的なデザインは、東芝が作ったといっても過言ではない。もちろんコンセプトの由来をたどれば、そもそもダイナブックという名前を授けたアラン・ケイに源流があるのだが、それをコンシューマ向けの製品としてパッケージングし、世に送り出したのは、紛れもなく東芝である。それらの経緯を総合して、スマートフォンにおけるアップルと同じような存在とも言えるだろう。

 その東芝が、パソコンをパソコンたらしめた「ウィンテル」、すなわちインテルとマイクロソフトが作ったプラットフォームを捨て、グーグルが作ったクロームOSのプロダクトをリリースするというのは、歴史の転換点といっても過言ではない。

 ただ、これは必ずしもパソコンの明るい未来を表すものでもない、と私には思えた。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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