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領域を超える経営学
【第7回】 2014年3月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
琴坂将広 [立命館大学経営学部国際経営学科准教授]

第7回
「1日に最大で何時間働くことができるのか?」
国際化で「1日」の仕事の進め方が大きく変わる

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ベンチャー企業の経営者として実務に携わり、マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントとして経営を俯瞰し、オックスフォード大学で学問を修めた琴坂将広氏。『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)の出版を記念して、新進気鋭の経営学者が、身近な事例を交えながら、経営学のおもしろさと奥深さを伝える。連載は全15回を予定。

セミ・グローバリゼーション時代の働き方

 拙著『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)では、「国際」の名がつく経営戦略と、「国際」とつかない経営戦略はどう違うのかという議論を解説しました。実際のところ、厳密に言うとこの議論は複雑で、研究者の間ではさまざまな主張が展開されている、まさに終わらない議論でもあります。

 しかし、この議論も、少し整理をして単純化すれば、

  1.条件の異なる複数の市場環境(たとえば複数の国)において、どのようにすれば同時並行的に、適切に事業を行うことができるのかという点。

  2.自社が生まれ育った環境とは異なる、または自社とはつながりの薄い環境において、どのように競合との競争に打ち勝つことができるのかという点。

 この2つが「国際」と名がつく経営戦略の議論の焦点となるかと思います。無論、「国際」という名のつかない戦略も関連してきます。それらも含めて総合的に、しかし、この2点のもたらす意味合いを議論することが、最も重要な焦点となるのです。

 「国際」と名がつく経営戦略がなぜ必要なのか。それは、現代という世界が、より強く結びつきあい、しかし同時に、数々の多様性を残している「セミ・グローバリゼーションの時代」であるからです。

 セミ・グローバリゼーションの時代は、すなわち、世界各地で商品やサービスを生産して販売することが容易になった反面、各地域の多様性により注意を払った、高度な事業運営が求められる時代です。

 世界が1つになりつつあるという単純な事実と同時に、世界が1つになり得ないという複雑な現実が、国際経営戦略の必要性をこれまで以上に強く求めているとも言えるでしょう。現代の実務家、多国籍に展開する企業の経営に求められるのは、この複雑な現実にどう立ち向かうのか、という挑戦なのです。

 さて、堅い議論は本の中で眺めていただくとして、今回は少し肩の力を抜いて、実際のところ、本書が示すセミ・グローバリゼーションが進んだ世界の最先端では、個人の立場ではどのような「仕事の仕方」が求められているのかについて書いてみたいと思います。

 まずは、以下の質問について考えてみてください。これは半分笑い話ですが、私がお酒の席でたまにする質問です。

 「人間は、地球上で1日に最大で何時間働けるのでしょうか?」

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琴坂将広(ことさか・まさひろ) [立命館大学経営学部国際経営学科准教授]

慶應義塾大学環境情報学部卒業。在学時には、小売・ITの領域において3社を起業、4年間にわたり経営に携わる。 大学卒業後、2004年から、マッキンゼー・アンド・カンパニーの東京およびフランクフルト支社に在籍。北欧、西欧、中東、アジアの9ヵ国において新規事業、経営戦略策定のプロジェクトに関わる。ハイテク、消費財、食品、エネルギー、物流、官公庁など多様な事業領域における国際経営の知見を広め、世界60ヵ国・200都市以上を訪れた。
2008年に同社退職後、オックスフォード大学大学院経営学研究科に進学し、2009年に優等修士号(経営研究)を取得。大学の助手を務めると同時に、国際経営論の研究を進める。在籍中は、非常勤のコンサルティングに関わりながら、ヨットセーリングの大学代表選手に選出されるなど、研究・教育以外にも精力的に活動した。2013年に博士号(経営学)を取得し、同年に現職。専門は国際化戦略。
著書に『領域を超える経営学』、共編著に『マッキンゼー ITの本質』(以上、ダイヤモンド社)、分担著に『East Asian Capitalism』(オックスフォード大学出版局)などがある。
Twitter:@kotosaka


領域を超える経営学

ベンチャー企業の経営者として実務に携わり、マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントとして経営を俯瞰し、オックスフォード大学で学問を修めた琴坂将広氏が、3つの異なる視点でグローバル経営の過去、現在、そして未来を語る。『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)の出版を記念して、新進気鋭の経営学者が、身近な事例を交えながら、経営学のおもしろさと奥深さを伝える。連載は全15回を予定。

「領域を超える経営学」

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