データジャーナリズム・ハッカソン

【第1回】 朝日新聞社「データジャーナリズム・ハッカソン」リポート

データの多面活用で社会は変わる
複雑さをひも解き可視化する
データジャーナリズムのポテンシャル

著者・コラム紹介
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グランプリ受賞の理由は
わかりにくい医療情報の可視化

グランプリを獲得した、浅井文和編集委員率いる医療チームと審査員のみなさん

 1チーム5分という限られたプレゼン時間を受けて、作品の内容を総合して審査が行われた結果、グランプリは、医療チームの「データで透明化する医療」が受賞。専門的でわかりにくい医療情報を可視化し、利用者の立場でアプリを開発した点などが評価された。

 審査を行った乾 東北大学大学院教授は、受賞理由を次のように述べる。

 「新聞記者の緻密な取材によって、厚生労働省が保有する膨大なデータをわかりやすくひも解き、それをビジュアルのプロたちの手によって一般の人にもわかるよう可視化した。また、報道の一次情報に止まらず、利用者が日常生活の中で活用できるアプリとして進化させた点も、医療の透明化という社会課題の解決に貢献している。今後、データの活用によって、ジャーナリズムの方法論自体をどう革新できるのか。その先行事例になっていたと思います」

医療チームには、現役の新聞記者以外に、システムエンジニア、デザイナー、医療関係に携わるNPO関係者が参加した。

 同チームでメディア制作の仕事に携わっている参加者の1人は、「膨大なデータから、何を切り口にするかを考えるのがいちばん大変だった。参加したメンバーの専門性をうまく組み合わせることができた点が勝因だったと思う」と語った。

 チームをまとめた浅井文和記者は記者歴30年の大ベテラン。東京、大阪本社の科学医療部で医学、バイオテクノロジー、科学技術政策などの記事を担当し、これまで数多くの医療現場を取材してきた。

 「医療の分野は、専門用語も多い上、膨大なデータを読み解く難解な作業を必要とします。それをわかりやすく伝えるためにはクリエーターの力が必要不可欠だと実感しました。医療技術の向上のためにひたむきに努力する人々がいることを、こうしたアプリを使って伝えることができればと思います」

 また、今回のイベントに参加したエンジニアやクリエーターからは、「新聞社が取材を通じて集めた情報は宝の山。ところが、記事として出稿されてしまうとそのデータは二次活用される機会がほぼない現実を知った。これはあまりにももったいない」という意見も寄せられた。

 データを集め、分析し、視覚的にわかりやすく表現するという新聞の果たすべき役割を、デジタル時代の多様な表現手法を用いて、いかに進化させるか。朝日新聞社は、デジタル技術を活用した新たな新聞報道の可能性を今後も探求するとしている。

■photo by Kazuhide.Endoh
 
【第2回】朝日新聞社 勝田敏彦氏と統計家 西内啓氏の対談編はこちらから 
 
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