日本の20年後を先取りする<br />「課題先進地」からのチャレンジ<br />――陸前高田市 久保田崇副市長奇跡の一本松。全国・世界中からの善意の募金により、その保存費用を賄うことができました。ありがとうございました(久保田)

陸前高田市では奇跡の一本松に加えて、もう一つの奇跡が起こりました。高田高校の実習船が2年の歳月をかけて米国カリフォルニア州の海岸に漂着し、それを発見した高校生らによって返還されたのです。一方、残念ながら復興の現場には奇跡は起こっていません。多くの被災者が未だに仮設住宅に暮らしています。また、震災により、人口減少、少子高齢化など、こらからの日本の姿が加速した形で現れています。こうした「課題先進地」から「待ち」の姿勢ではなく、「攻め」の姿勢で積極的に復興に取り組む姿をご報告します。

「奇跡の一本松」に続く
もうひとつの奇跡

 東日本大震災から3年の月日が流れました。2万4000人ほどの人口のうち、岩手県で最大の1800人近くが犠牲となった陸前高田市。夏場の海水浴場となっていた高田松原の7万本の松のうち、たった一本残った松の木は「奇跡の一本松」として親しまれていますが、この奇跡の一本松に続き、最近になって、もうひとつの奇跡が生まれました。

 2013年4月、米国カリフォルニア州クレセントシティの海岸に小型ボートが漂着し、同市のデルノルテ高校の生徒によって発見されました。津波の専門家であるハンボルト州立大学のロリー・ダングラー(Lori Dengler)教授が陸前高田市のFacebookページにメッセージを送ったところ、そのボートが陸前高田市の高田高校の実習船であることがわかったのです。