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宅森昭吉の景気の「気」を読む

消費増税など不透明感高まるも
大相撲懸賞本数など身近なデータはしっかり

宅森昭吉 [三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト]
【第7回】 2014年3月25日
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消費増税の影響など織り込み先行き不透明な景気局面に突入した。景気ウォッチャー調査を使った株式の模擬売買においても、3月10日に発表された景気ウォッチャー調査の指数をシグナルに、日経平均を売り建てに転換。一方、大相撲懸賞本数は史上最高を記録するなど身近なデータはしっかりしている。

2月分の経常収支は
赤字にならない

 日本の景気は、足もとは大雪の影響などが出た分野を除けば堅調である。しかし、新興国の金融経済動向、ウクライナ情勢などの予断を許さない国際情勢に加え、消費税率引き上げが間近に迫り、不透明感が強くなっている。

 3月10日に1月分の日本の経常収支が史上最大となる1兆5890億円の赤字と発表されたことも不透明材料のひとつになったのかもしれない。

 「昨年10月に赤字になって月を追って赤字幅が拡大し、1月で史上最長の4ヵ月連続赤字となってしまった。国際競争力の低下や海外生産移転などの影響もあり経常収支が赤字基調になっている。経常収支が赤字では(貯蓄不足となるので)、対外投資も国債の国内消費も難しい」といった論調さえみられる。

 しかし、これは統計を表面的にしか見ていない人のコメントだろう。もともと日本は時々1月に経常収支が赤字になった。正月で輸出が鈍化するからだ。近年は2012年以降3年連続で1月は赤字である。また、今年に限れば消費税引き上げ前の駆け込み輸入増という特殊要因もあった。11月、12月は第一次所得収支(従来の所得収支、これまでの経常移転が第二次所得収支)の黒字額が他の月に比べ小幅になりやすい。このため1年前の12年11月から13年1月にかけても3ヵ月連続して経常赤字月が続いていたが、13年2月は経常黒字に転じたのだ。

 今年も2月分の経常収支は黒字になりそうなことが、3月7日に財務省から発表された2月上中旬の貿易収支(通関ベース)から予測できた。上中旬の輸出の前年比は+18.1%、輸入は同+3.6%だった。2月上中旬の貿易赤字前年比は▲34.7%、13年4月以来の減少となったのだ。2月上旬分と2月上中旬分のデータから、2月中旬分の輸入の前年比を計算すると、何と前年比▲1.8%の減少になったことがわかる。

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宅森昭吉 [三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト]

たくもり・あきよし/三井住友アセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト。1957年東京生まれ。1980年3月慶應義塾大学経済学部卒業、同年4月三井銀行(現、三井住友銀行)入行。調査部、市場営業部などを経て94年11月さくら証券チーフエコノミストに。2001年4月さくら投信投資顧問チーフエコノミスト、02年12月三井住友アセットマネジメント、チーフエコノミスト、12年4月1日より現職。主な著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)、「日本経済『悲観神話』はもういらない」(中央公論新社)など。内閣府「景気ウォッチャー調査研究会」委員、日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査委員会」委員、景気循環学会・常務理事も務める。


宅森昭吉の景気の「気」を読む

景気を決めるものは何でしょうか。消費動向、企業の設備投資、海外の経済状況……。いろいろありますが、大切なのは景気の「気」。三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの宅森昭吉さんが、難しい経済指標だけではなく、プロ野球の日本シリーズの組み合わせ、ヒットしたテレビドラマ、天候などなど、社会の森羅万象の動きから、景気の現在とこれからを読み解きます。

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