今年のプロ野球で最大の話題に一つは、昨年ヤンキースで11勝と2ケタ勝利を挙げた黒田博樹投手が広島に復帰したことだ。これで前田投手との2枚看板になり、広島の3年連続のAクラス入りが期待できる状態となった。

広島がセ・リーグで初優勝した1975年以降の名目GDP成長率と広島の成績を見ると、広島の活躍がデフレ脱却につながるように見える。広島のAクラスは金融危機が発生した97年まででいったん終わっていた。その後の長いデフレ時代はBクラスで、2013年に3位で16年ぶりにAクラスに戻った。黒田博樹投手が加わる今年も、広島は3年連続のAクラス入りが期待でき、デフレ脱却を目指す黒田東彦日銀総裁への応援材料になりそうだ。

プロ野球と景気には
不思議な関係がある

 日本で一番人気のあるプロスポーツはプロ野球である。国民的関心ごとであるが故に、人気球団の活躍と景気との間には、様々な不思議な関係がある。

 一例を挙げると、第一次石油危機が発生した1973年以降のデータでみると、日本シリーズに一番人気のある巨人が進出したのは16回で、セ・リーグ代表として日本シリーズ後に最初に発表される日銀短観12月調査で(96年までは11月調査)、大企業・全産業の業況判断DIの前年との変化幅は+9.6ポイントと、大幅に改善している。

 二番人気の阪神が日本シリーズに進出したのは4回で、平均+0.3ポイント改善している。ちなみに昨年は▲4ポイントと悪化であった。日本シリーズに他のセ・リーグの4球団が進出したのは22回で、平均▲7.2ポイントと前年より悪化している。ちなみにうち広島6回で、平均▲6.0ポイントと前年より悪化している。

広島がAクラス年は
名目成長率は高めに

 今年は景気面、特にデフレからの脱却という面で、広島に期待したい。

 今年のプロ野球では、昨年までヤンキースにいた黒田博樹投手が広島カープに戻ってくる。メジャー在籍7年間で通算79勝、14年も11勝をあげた黒田投手は、残留すれば20億円前後を手にできたものの、「カープに帰るなら年齢的に今年しかない」として約5分の1の年俸で復帰を決めたという。企業にとって、生産拠点を海外に移せば良いという風潮から、国内回帰の動きが出始めつつあることと重なるものがあるように思われる。

 これで前田投手との2枚看板になり、広島の3年連続のAクラスが期待できる状態だ。